日銀はなぜ、円を「生殺し」にしたか? 黒田総裁「現状維持」の本音

 

円高に

このように、徐々に日本は追い詰められているが、FRBが利上げをしないと今後一層の円高になる可能性がある。平均購買単価からすると1ドル=105円であるので、100円程度は仕方がないが、90円になると円高と認識できるレベルになる。

12月もFRBが利上げをしなく90円を超える円高になるなら、擬似ヘリマネを行う必要になる。円がリスクオフ時の退避マネーとなっているほど円への信用が高いので、それを打ち壊す必要が出る。

英国EU離脱後、ホンドの急落で英国経済は活気を取り戻している。英国が信用力を落としたことで景気上昇になっているようである。

ということで、日本も円への絶大な信用に傷を付けることが必要になっている。円高になっても想定より日本企業の業績が好調であり、株価が思ったほど落ちない。もちろん、その裏には日銀のETF買入れもあるが、業績が落ずに配当利回りが3%以上の企業が多い。

企業業績が落ちないのは、円安時に輸出を増やさなかったことで、円高時も輸出が減らないことにある。企業の生産が日本から海外にシフトして為替に関係がなくなっているからだ。

しかし、海外の景気動向には日本の株価は敏感になっているが、米国の景気が低成長でも上向いているので、株価も想定より落ない。

日本の貿易は赤字であるのに、経常収支は黒字であることも、企業の海外シフトを裏付けている。このため、放置すると90円を超える円高になりやすいことになる。

しかし、日本は、ある程度の110円程度の円安にすることが必要になる。インフレが起きずにデフレになるからである。

しかし、円の信用を極端に崩壊させると、超円安になりハイパーインフレになり、円の信用をそのままにすると超円高になる。

円の信用を適当に傷を付ける必要があるが、ここで、問題なのが、日銀のプライドと財務省の為替担当、金融庁の担当者間の食い違いである。

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