なぜ「大きな胸を小さく見せるブラ」は大ヒットしてしまったのか

 

常識や思い込みに隠れたニーズがある

「胸を大きく見せる」という機能が主流の中で商品化を実現したことは特筆できるといえるでしょう。

当たり前と思われていることにも隠れたニーズや不満があることを表しています。

また、世の中は思い込みで満ち溢れていることの表れともいえます。女性は「女性」として見られたいと思っていると、多くの男性は思い込んでいました。「女性ではなく一人の人間として見られたいという願望があることを見落としていたのです。

もうひとつ特筆すべき点があります。「大きな胸を小さく見せたい」というニーズが商品化前では10.7%だったのに対し、その後の調査では18%になっていることも見逃せません。調査の条件が同じではないので単純比較はできませんが、商品化によりニーズが拡大した可能性は十分考えられます。

「実はこういう不満がありませんか?」と問いかけ、それに対して「その不満を解消するための商品があります」と提示したことにより、今まで消費者自身が気づいていなかったニーズを顕在化させました。ニーズを掘り起こしたともいえます。

小さく見せるブラのヒットには商品・サービス開発のためのヒントが隠されています。

まずは、世の中の常識や思い込みを疑うことにあります。「本当にそうなのだろうか?」と疑ってみます。あえて「真逆」のポジションに立ってみます。

そして、隠されたニーズや不満があると予見できた場合、それが本当に存在するのかどうかを確かめる必要があります。ワコールが行ったようにアンケートをとることが有効です。

ニーズを調査する余力がないのであれば、損切りできるという条件のもと見切り発車で商品化して実際に消費者に問うのもありでしょう。一定期間販売して売れなければ販売を中止すればいいだけの話です。

思わぬヒット商品を生みだすためには、世の中の常識や思い込みを疑う必要があることを「小さく見せるブラ」のヒットが教えてくれました。

image by: Wacoal Web Store

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • なぜ「大きな胸を小さく見せるブラ」は大ヒットしてしまったのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け