見た目よりも機能美? ジョブズが愛した「美しいデザイン」の深い意味

 

僕が思うにジョブズは、「見た目の美しさ」ばかり気にしてし「機能性」を後回しにしてしまうデザイナーに対して、

「美しさばかり追求して、使い方もわからないものを作っても仕方がないだろう。まずは『どう機能するのか?』を意識し、そこをテーマにしてデザインしてみようじゃないか?」

そんな風にあえて言いたかったんではないでしょうか。

ジョブズの求める美しさが、ある種研ぎ澄まされた機能美である事は、否定しません。しかしその半面、「遊び心に溢れたデザイン」もジョブズは、決して嫌いではないはずです。

1980年台にジョブズがAppleに暫定CEOとして戻った時に、「オレがいない間にApple製品にはセックスアピールがなくなっちまった!」と(いう意味のことを)叫んだと言います。

セックスアピールとは、つまりは製品の「魅力」であり「美しさ」であり、もちろん製品の醸しだす「色気」でもあります。

もう25年も前の事なんで、若い読者の方達はご存じないかもしれませんが、当時瀕死のAppleを救ったのは、1998年に発表された初代iMacと言われています。ベージュやグレーの筐体しかなかったPCを、いきなり半透明のおむすび型にデザインしてしまったというもので、その時の衝撃は今のApple Watchの比ではありませんでした。

少なくとも「機能性」だけを追求して、このデザインが生まれるはずもありません。「遊び心に溢れた美しさ」が、このPCに溢れているとは思いませんか?

デザインとは「どう見えるか」ではなく、「どう機能するか」の問題である。

あらためて言いますが、ジョブズのデザインに対する考え方を、この言葉でだけで測るわけにはならないわけですが、しかし、この格言が「機能美」の説明に繋がっていく事はとても興味深いことです。

つまり、“デザインとは「どう見えるか」ではなく、「どう機能するか」の問題である。”……の言葉の後に、“どう機能するのか?考え抜けばおのずと「美しく」もなる!”という、機能美の真髄を紐解いてくれているようにも思えます。

「おお、機能性を追求して無駄をそぎ落としていけば、美しさも手に入ってしまうわけね!」というわけで、機能性と美しさの関係について、なんとなく「オチ」がついた気もしますが^^

>>次ページ 機能性を突き詰めれば本当に美しくなるのか?

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