それって、子育てが終わって、もうあまりこだわるものもない年代だから言えるのよ~と言われちゃいそうなドラマが今評判です。タワーマンションのヒエラルキーを描いたテレビドラマ「砂の塔~知り過ぎた隣人」が、子育て世代の人たちに「怖すぎる」と話題になっています。
すみません、私、予告編しか見ていませんが、想像つきます。子育て中は、ママ友間での、こういう面倒な世界と関わらなくちゃならないので、たいへんなんです。子育て中は、そこから逃げられませんから。でも、これ、子育て世代の特徴で、ある意味、結構古典的なテーマで、昔からあることです。何かでヒエラルキーをつくって安心したいっていう心理はなんか、いつになっても変わらないんだな…と。昔の団地でもよく聞いたし、社宅なんかもっとすごい葛藤があり、よくドラマにもなっていますよね。タワーマンションの場合、何で、差別感を持つか、優越感を持つかという分かりやすい記号が、「何階に住むか」ということだというのが、ちょっと今風だということです。
でもね~、こんなに価値観が多様化したようでも、まだ、若い人たちが、こんな多様性のないヒエラルキーに縛られているって、ほんとうかな~。まあ、ドラマだから、大げさな部分はあっても、こんなに話題になるのは、「あるある」なんでしょうね。
でも、みんな幸せじゃなさそう。何のために、マンション買ったのかわからない。「高層階ほどバカを見る。タワーマンション『課税』に黄昏れて」も書いたように、高層階の部屋の購入に払う高額なお金は、ステータス、優越感、もっというと、お金があることにのみ価値を見出す人たちを惹きつける舞台回し…。
超高層マンションの高層階の価値って、眺望とかじゃなく、ものすごく、ふわっとした、ほんと「砂の塔」みたいなものなのでは…と思えます。実態がないから、何かでステータスを失うと、あっという間に崩れ落ちるような…。
でも、何階であろうが、タワーマンションを購入して家族で暮らせるってことだけで、すごく幸せなことだと思います。こんな格差社会にあって…。そのことに気づいている人が、ほんとうに幸せな人で、その幸せは、不動産市場に何があっても崩れ落ちないもののはずです。人を幸せにするのが「住まい」の究極の目的ですから。
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『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
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