ホームセンターの異端児「コメリ」はなぜ農村に出店するのか?

 

農村地域をターゲットにした

コメリは小商圏を中心に出店していきましたが、さらに特徴的なのが、農村地域をターゲットにしてきたことです。園芸用品や農業資材を中心とした品揃え戦略により、農業を営む人たちを主要顧客としています。

創業地の新潟の地場産業でコメリの主力製品でもある金物や建築資材などに特化し、その主力製品に合ったマーケットに経営資源を注ぎ込んでいきました。

さらに、商圏内のシェアを高めるために、特定のエリアに集中化して出店するドミナント戦略を採用しました。集約された出店地域において効率的な店舗運営を行うとともに、特定の地域における知名度の向上を狙いました。

コメリは農村地域をターゲットにすることにより大きく成長していきました。日本の農業の国内総生産は、2009年で5兆3,490億円と巨大なマーケットであり、そのマーケットにコメリは照準を絞ったのです。

農家のニーズに徹底的に応えた

農業分野における有力な競争相手は農業協同組合(JA)や専門卸ですが、コメリは農家への手厚い対応で農業分野での地位を高めて対抗しています。

例えば、農業所得のある顧客を対象に同社が発行するコメリ・アグリカードは、通常決済に加えて、毎年1回顧客が指定した月に一括払いできる「収穫期払い」が用意されています。

ネット通販で農家が出品した作物を販売する「産直市場」や、店頭での在庫が難しい大型商品を物流センターから直送する体制も整えています。

コメリは農業分野にターゲットを絞り、農家のニーズに徹底的に応え、競争相手のJAを凌駕する品揃えやサービスを提供し、インターネットによる販売体制の確立により、大きな競争優位性を確保することができました。

コメリは、大手が参入したがらないニッチ(隙間)市場を狙ったことが功を奏しました。大手との競合を避け、地域に密着した経営を行いました。そして、ホーマックやニトリと肩を並べる大手企業へと成長していったのです。

image by: Wikimedia Commons

 

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著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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