ブラックバイト訴訟、「しゃぶしゃぶ温野菜」元従業員が暴行で逮捕

 

増える「ブラックバイト」の実態

労働組合ブラックバイトユニオン」には、こうしたブラックバイトによって学生生活を脅かされた例が次々に報告されています。勝手にシフトを組まれた、販売ノルマを達成できなかった場合に自腹で買い取りを要求された、発注ミス分の代金を自費で負担させられた、「バカ野郎!」と罵倒された、残業代が支給されなかった、長時間労働を強要させられた、といったトラブルが後を絶たないようです。学生という弱い立場につけこんだ悪質なトラブルといえるでしょう。

それにしても、弱い立場にある学生に無理を強いることでしか業績を上げることができないのでしょうか。強い立場にある者が弱い立場にある者を酷使することで生産性を上げることは誰にでもできます。たとえそれで業績が上がったとしても、それはその人個人の「能力」によるものではなく、「立場」がそうさせただけです。むしろ、「私は無能で部下の生産性を上げる術がないから、立場にものをいわせて無理やり生産性を上げた」と言っているようなものです。無能を主張しているだけといえます。

視点を変えて考えてみると、暴行を加えた元従業員の男性や妻の元店長に「部下のモチベーションを上げることで生産性を上げる」という考えがなかったことが残念で仕方がありません。そういった術を知らないがために、暴力や立場に頼ってしまったのでしょう。

ところで、男子大学生に暴行したとされる元店長自身も8カ月間、休み無く働いていたとみられています。「ブラックの連鎖」が続いていたことが明るみになりました。「自分がしたことは他人にしてもよい」という意識が働き、劣悪な労働環境が増幅していきました。これは組織的な問題といえます。このように考えると、末端の一部の問題ではないといえるでしょう。

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