なぜ「友人同士の起業」は、うまくいかないことが多いのか?

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ベンチャー企業など、仲が良い友人同士で起業するケースは多いものですが、無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』によると、そのような会社は問題が発生するや人間関係に修復不能な亀裂が入ることが多いのだそうです。そんなことにならないために打っておくべき「手」を、谷原さんが伝授してくださいました。

仲良しと仕事をする時の注意点

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

ビジネスにおいて、人間関係が円滑であることは言うまでもなく重要。一緒に仕事をする人が、仲が良いに越したことはありません。しかし反対に、まったく気が合わない人同士がビジネス上で良好なパートナーになることもあります。

私は弁護士として、様々な企業、特に紛争が発生した組織をみることが多いのですが、問題がこじれることが意外と多いのが、友人など仲の良い人と始めた会社です。たとえば、ベンチャーは、学生時代の友人など、親しい人と始めることが多くあります。ITベンチャーでは、遊びで作っていたソフトウェアや自作したハードをもとにした製品がビジネス化していくことも多くあります。

しかし、そのような会社で、最初はメンバーが一致団結していたものの、ふとしたきっかけで亀裂が入り、修復不可能になる事例は枚挙にいとまがありません。仲が良ければよいほど、状況が変わり、問題が発生するともろい所があるのです。

ここで問題となるのは、友人関係とビジネスの関係の決定的な差です。友人関係は好き嫌い、つまり感情の世界であり、ビジネスは理性の世界。この2つはまったく異なります。

遊びの延長線で仕事ができているときは差が顕在化しません。しかし、たとえば事業が軌道に乗り、資産が増えてきたときに、株式の持ち分を適当に決めていたことが原因で、紛争が発生することがあります。また、事業は一般的に失敗することの方が多いものです。会社が経営危機に陥ったときにも、負債などの責任問題でももめることも多々あります。

感情で結びついている関係では、相手に対する「こうしてくれるだろう」という期待甘えがあります。問題が発生すると、その期待は簡単に裏切られ、期待があるからこそ、感情も高まります。

はじめから仲がそれほど良くないビジネス上の関係であれば、相手をある意味で疑ってかかりますので、初めからきちっと取り決めをしていて、いざというとき、むしろうまくいくことも多いというケースがあります。

 

では、仲が良い人と仕事をする時には、何を注意すればよいのでしょうか。ここで大切なのが「取り決め」。成功した時、失敗した時など、将来の問題をどう処理するか、発生する前にしっかり決めておくことです。

言葉にすると当たり前のようですが、誰かが意志をもって行わなければ、友達同士でそのような話し合いを事前に行うのは難しいものです。私は弁護士として、その部分の意識が甘い会社については、厳しめに忠告することにしています。

これは、起業するときに限らず、仲が良い人と仕事をする時すべてにいえます。友人関係とビジネス関係、感情の世界とビジネスの世界の違いをメンバー全員が意識し、いざというときのルールを事前に決めておくことです。それがあるからこそ、意思疎通やモチベーションの面での、仲の良い人と仕事をすることのメリットが、最大限に活かせるのだと思います。

「『感情』と『規律』は本質的に違うものだ」(ゴルゴ13)

今回は、ここまでです。

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弁護士谷原誠の【仕事の流儀】
人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。

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