【MBA分析】近江商人の心得「三方よし」で成功した地方の文化会館

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人口3万2,000人の地方都市にある多目的ホールが全国的な注目を集めています。ギネス世界記録に認定されたというその構造もさることながら、商売の原点ともいえる「三方よし」が理想的な形で実現されている「南陽市文化会館」を、無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者・青山烈士さんが詳しく分析しています。

三方よし

山形県南陽市にある注目されている多目的ホールを分析します。

南陽市文化会館

今回は企業ではありませんが、とても参考になる事例でしたので取り上げました。

戦略ショートストーリー

南陽市民とアーティストをターゲットに「国内最先端の耐火木造技術と専門委員」に支えられた「やわらかい質感とダイナミックかつ美しい響き」という強みで差別化しています。

日本初となる大型木造耐火の文化ホールや最大の木造コンサートホールとしてギネス世界記録に認定されるなど、注目を集めることで顧客の認知度を高めています。

■分析のポイント

三方よし

近江商人の心得である「三方よし」という言葉がありますが、今回の南陽市文化会館は、それを実践している好事例です。

「三方よし」とは「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三つのよしを意味しており、売り手と買い手が満足し社会貢献にもつながる商売が良い商売であるということです。

今回の事例でいうと、「売り手」に該当するのは、南陽市文化会館ですね。「買い手」に該当するのは、利用者である南陽市民や観客、コンサートを開くアーティストや演劇を行う劇団などです。「世間」となるのは、その地域や関わりのある方々となります。

それでは、一つ一つ見ていきましょう。

一つ目は「売り手」を見てみます。南陽市文化会館にとっては、施設が利用されることが一番ですから、多くの著名アーティストがコンサートに利用しており市民にも活用されている状況は満足といえるでしょう。

二つ目は「買い手」ですが、コンサートを開いたアーティストから「またここでコンサートを開きたい」と言ってもらえているようですので、満足度は高そうです。そして、人口約3万2,000人の小さな町の市民にとっては、著名なアーティストが来ることは嬉しいことでしょうし、ここでしか味わえない音楽空間に観客も満足しているようです。

三つ目は「世間」ですが、著名なアーティストのコンサートが開催されることで、地域の旅館などの宿泊施設も潤っているようで、地域へ経済効果があるようですので、地域へ貢献しているといえます。

また、全国からの視察者は後を絶たないようで、学びの場としても貢献しています。さらに、南陽市という地域の知名度向上にもつながっていますし、南陽市のシンボルとして、地域に貢献しているといえるでしょう。

そして、構築・耐火技術を採用された地元の企業である株式会社シェルターなどの関わりのある企業にとっても非常に大きな宣伝効果になっています。

以上のように、南陽市文化会館は公共施設ですが、「三方よし」を実践されていることがよくわかります。南陽市文化会館のように、商売の原点ともいえる「三方よし」を意識してビジネスをしていきたいですね。

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