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追い出し部屋に送られたら?会社の嫌がらせ人事に対抗する方法

近年、自主退職を促したい社員を人事異動で通称「追い出し部屋」などと呼ばれる部署に送り込み、仕事を与えなかったり、単調な作業を強制するなどして精神的に追い込む手法がとられ、裁判沙汰になるケースも見受けられます。自分や自身の大切な人がこんな目に遭わせられたとしたら、絶対許せませんよね。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では、そんな「人事権の濫用」についての考察が記されています。

御社では、人事権の濫用が行われていませんか?

会社には、「人事権」が広く認められています。人事権とは、採用や配置、人事考課、異動、昇格、降格、解雇等について、会社に認められた権限です。

ただし、人事権がいくら広く認められるからといって、社会通念上著しく妥当性を欠き、権利の濫用に当たる場合には違法となります。たとえば、不当な動機や目的をもって行われた人事異動。これはアウト!です。

裁判例を1つ紹介します。Y銀行で総務課長をしていたベテラン社員(男性)を降格し、さらに、通常は20代前半の女性契約社員が担当していた受付業務へ配転した事件があります。これに対して裁判所は「受付業務への配転は、人格権を侵害し、職場内・外で孤立させ、勤労意欲を失わせ、やがて退職に追いやる意図をもってなされたものであり、Y銀行に許された裁量権の範囲を逸脱した違法なものである」として、慰謝料100万円を命じています。

このような人事異動は、「パワハラの6つの類型」のうちの「過小な要求」に当たります。「過小な要求」とは、「業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと」とされています。

この場合、程度の低い仕事を命じれば、すべて違法となるかというと、そうではなく、あくまで、「業務の適正な範囲を超えた命令が違法となります。ですから、個別に、事例ごとに、違法かどうか判断していくことになります。しかし、紹介した裁判例のように、明らかに不当な目的の、見せしめ的な配転であれば、問答無用でアウト! です。

裁判所は、卑怯者には厳しく対応します。くれぐれも、不当な動機や目的を持った卑怯な配転などを行わないでください。いくら正当な理由を並べて取り繕っても、結局それは見破られて、痛い目を見ることになります。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、人事権の濫用が行われていませんか?」

 image by: Shutterstock.com

 

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就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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