日本にとって好都合。米英の再接近が中国にもたらす「大打撃」

 

冷める英中関係

ところが、英中の「黄金時代」は、長く続きませんでした。まず、中国経済が急激に失速したので、「チャイナマネー」の魅力が薄れてきた。

一方で、中国がイギリスを見捨てる大きな理由が出てきました。イギリスがEU離脱」を決めたこと。ブルームバーグ、2016年6月28日付を見てみましょう。

習主席とキャメロン首相の友情、無駄に-中国が失った最良パートナー

Bloomberg 6月28日(火)11時2分配信

 

中国の習近平国家主席が英サッカークラブ「マンチェスター・シティ」のスター選手と自撮りに興じ、バッキンガム宮殿での晩さん会に招かれ、イングリッシュパブでビールを楽しんだのは、わずか8カ月前のことだった。

 

エリザベス女王は習主席の訪英を高く評価。習主席とキャメロン英首相は両国関係の「黄金時代」の到来を示し、英国は中国の「欧米における最良のパートナー」としての地位を築いた。習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。

イギリスと中国は、「黄金時代」だそうです。そして、最後の一文

習主席はシェークスピアを引用し、中国が欧州連合(EU)との関係を深める上での英国の「積極的な役割」を力説した。

がとても大事ですね。中国にとってイギリスの役割、「中国とEUの関係を深めること」。イギリスがEUから離脱したら、その役割を果たせなくなります。これから、イギリスと中国の関係はどうなっていくのでしょうか?

北京外国語大学の謝韜教授(政治学)は「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」と指摘。欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失われたとし、中国は今後ドイツとの関係に集中することになろうと予想した。
(同上)

短いコメントですが、非常に重要な点が三つあります。

  1. 「中国が英国との関係を非常に重視してきた大きな理由は、英国を通してEUの政策に影響を与えることにあった」
  2. 欧州への「橋頭堡(ほ)」としての英国の価値はEU離脱で失われた
  3. 中国は今後ドイツとの関係に集中することになる

要するに、中国はイギリスを捨て欧州ではドイツを最重要視するようになると。こうして、英中の短い「黄金時代」は終わったのです。

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