史上最高値の更新が続くビットコインは、第二の金になり得るのか?

 

実は崖っぷちにいる僕達

一方で、ビットコインのように匿名で政府の目のとどかないところで資金のやり取りができるようになると、マネーロンダリングやテロや暴力団の資金調達の温床になるという懸念もあります。しかしこれはなかなか微妙な問題です。極端な例ですが「テロリストはトイレを使うから、世界からトイレを無くそう」というのが馬鹿げた理論であるように、テロだけを理由に自由市場が努力していることを政府が妨げてしまうと、新しいイノベーションやビジネスが生まれなくなります。実は多くの政府が「テロ防止のために」と言う時には、その後ろにまた別の思惑があります。「テロ防止」を口実として金融システムをデジタル化(インドように大きい額の現金を禁止することもしかり)することで、政府は国民の金融資産や取引状況を監視して自由に使えるからです。これは、すごく、すごーく怖いことなのです。

ある日突然、「政府の借金が増えてきたから、国民の貯金を財産税という名目でちょっと取っちゃおう!」と政府が決めたら、政府はデジタル化した国民の資産を簡単に差し押さえたりすることができるからです。また、政府は国民にバレない形で資産を奪うのもデジタル化をするとより簡単になります。例えば、デジタル化しておけば簡単に政府の帳簿のゼロを一つ増やしたりでき、通貨の量を手軽に増やすことができます。借金を返すために通貨を増やし借金を返したら後はシラネ~と放置するのです。するとどういうことが起きるでしょうか。世の中に増えたお金が回り始めると、今までと同じだけの物品やサービスをより多くのお金が追うわけですから、物価がつりあがる「インフレ」が起きるわけです。国民は「値段があがった!店が悪い!」くらいにしか思いませんが、実はそういったシナリオは政府や中央銀行のせいなのです。国民に気づかれない形で国民の資産を奪ってしまうのと同じことです。これは大掛かりな詐欺なのに、それにほとんどの人が気づいていません

今ベネズエラでは経済崩壊に次ぐ激しいインフレで、国民は貧困と飢餓に陥って、路上や動物園の動物を殺して食べているほどです。治安も極めて悪化しています。そんなことが今にでも起きうる状況が、グローバルに起きているから怖いのです。ちなみに日本も大きな債務国ですが、実は日本は海外に資産が多く、借金も円建てなのでベネズエラのような崩壊シナリオにはなりにくいです。しかし怖いのは、アメリカやドルが崩壊した時にとばっちりを受けることです。実際にそういった崩壊が起きた時にアメリカで何が起きるかを予想すると、銀行がドミノ倒しのように破綻して、経済が麻痺します。ギリシャが破綻した時のように銀行に行っても現金が引き出せず、潰れていない銀行でも「一日当たり300ドル」というように引き出し制限が設けられます。スーパー等からはしばらく食品が消えるでしょう。それに伴って暴動が起きるでしょうし、警察などの政府機関が一時シャットダウンし、暴動の収集がつかなくなることもあり得ます。実は、2008年のリーマン・ショックの時でさえ、銀行が連鎖的にドミノ倒しになるほんの手前まで行ったのです。しかし、そんなことは国民は起きた後にしか知りません。今のアメリカ経済の状況は、2008年のリーマン・ショック直前の時よりも遥かに悪いということは自覚しておかねばなりません。史上空前の借金バブルが世界中を包んだ状態になっているからです。

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