史上最高値の更新が続くビットコインは、第二の金になり得るのか?

 

デット・シーリング

皆さん聞きなれないかもしれませんが、「デット・シーリング」という言葉があります。これは直訳すると「借金の天井」です。アメリカ政府が借金する上限はここまでにしとこうぜと決めた額のことです。今までアメリカ政府は、借金が増える度にこの天井を高くしてきました。オバマ政権はアメリカ史上最高額の借金を生み出し、その借金爆弾をトランプ政権が引き継ぎました。実はトランプはそのことは分かっていて、選挙活動中に「ファット・アグリー・バブル(ブクブクの醜いバブル経済)」とオバマ政権時の経済をこき下ろしました。トランプが引き継いだ後も何も変わるどころか、さらにバブルは膨れています。ところがトランプはそのバブルを批判するどころか、今では「自分のおかげ」的な姿勢に変わってしまいました。株価が上がるのはバブル症状の一つですが、「どうだすげぇだろ!」とドヤ顔になっています。そんなドヤ顔トランプですが、今月の15日に一時期オバマ政権で保留になっていたデット・シーリングが再施行されます。そうなると、トランプ政権は非常に困ることになります。デット・シーリングを上げないとこれ以上の借金ができないからです。トランプは防衛費を増やすとか言っていますが、そもそもお金がない上にデット・シーリングがあるので、実現可能なのか疑問です。ならばデット・シーリングを上げれば良いのですが、それには議会を通す必要があるのでハードルが高いのです。

アメリカ政府はとりあえず今後3ヶ月分くらいの現金は所有していますが、夏くらいにはそのお金が尽きてしまいます。すると借金が必要になるわけですが、このデット・シーリングが邪魔をするわけです。お金がなければ、何もできません。すると政治が混乱するし、部分的にシャットダウンすることもあり得ます。そうなると、NYに住む我が家にも直接影響があるわけです。そしてそういった政治経済の不安が起きた時、市場の心理も大きく動きます。その時、ビットコインや金(ゴールド)に人が押し寄せて価格が上がることも、もしかしたらあるかもしれません。

僕は金融のプロでもファイナンシャルアドバイザーでもないので、その時期を見越して投資を薦めているわけではありません。ただ、今話題のビットコインと、その背景にこんな世界情勢と経済危機があるということをお伝えしたいと思いました。日本のニュースを見ていると「ビットコインでお寿司の支払いができます!」とか、非常に呑気なものばかりなので、世界で起きている背景を皆さんにお伝えしたいと思ったのです。こんな不安な時勢だからこそ、時代を生き抜く知恵を持つことは、どんな人でも大切なのではないかと思うのです。

追記:ビットコインに興味を持って買ってみたいと思った方は、ご自身の判断と責任で行って下さい。ビットコインはまだ非常に価格変動が激しく不安定なアセットです。また、今週の11日までに、アメリカのSEC(証券取引委員会)がビットコインのETF(上場投資信託)を認可するかどうかの決断を下すことになっており、その結果によってはビットコインの価格が大きく変動する可能性があるのでくれぐれも注意して下さい。

 image by: Shutterstock.com

 

しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」

著者:しんコロ

ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。

≪初月無料/購読はこちらから≫

print
いま読まれてます

  • 史上最高値の更新が続くビットコインは、第二の金になり得るのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け