何だか、マンションの個人賠償責任保険は、何重にも不思議な保険です。
- 管理組合が管理すべき共用部分じゃなく、個人が責任を持つべき専有部分が対象になる
- マンション内に限らず、マンション外で起こった事故も対象となる
- あくまで居住者が対象で、外部組合員やその家族のマンション外での事故は対象外
そして、何より不思議なのは、そのことが居住者に周知されていないということです。
お金を払っている以上、対象となる事故にはもれなく請求するというのが、保険を掛けているものの当然の権利ですが、保険を請求する者、お金を負担する者、利益を受ける者が微妙にずれているので、あまり積極的に説明されてこなかったのでしょうか。
ここで、当然、もっと保険をシンプルにできないかと考えたくなります。保障は、マンション内の事故だけでいいから、保険料を下げて…と。これに対して、保険の専門家は、「特約第2条(2)は、不要な補償なので、この補償を外してその分、保険料を安くして欲しい」と申し出られても、マンション総合保険自体が収益が出ない商品ですので、保険会社は保険料値引きには応じないのではないかと思います…と。
個人賠償責任保険については、管理組合で掛けなくてもいい、個人の自己責任で掛けてもらうべきという意見もありますが、管理組合運営に関わっていると、漏水事故のときに対応の大変さを思い、やはり個人の裁量に任せるのは危険だと、大多数の人がいいます。
私の知人は、マンションの形状からして、火災保険は必要ないという信念を持って加入せず、その代わりに、万が一の事故に備えて修繕積立金を積んでいたのですが、経年とともに、個人賠償責任保険だけはどうしても必要だが、これは、火災保険の特約でなければ入れないというので、最低限の火災保険にも加入したよ…と。
そのくらい円滑な管理組合運営には欠かせない保険なのですが…保障をマンション内に限定して、その分保険料を減額することができないのであれば、せっかくの保険をきちんと広報してフルで活用しないのは、もったいないとも言えます。