紳士服のAOKI、利益50%減。「脱スーツ」の先にあった落とし穴

 

一方、ブライダル事業が急ブレーキを踏んでいます。2015年3月期までは成長を見せていましたが、2016年3月期は一転、減収減益に陥りました。売上高は前年比5.2%減の292億円、営業利益は14.6%減の35億円です。2016年4~12月期も減収減益で、売上高は11.1%減の208億円、営業利益は32.4%減の23億円です。異変が起きています。

背景には婚姻件数の減少や地味婚の拡大といった市場環境の影響があります。厚生労働省の人口動態統計によると、2015年の婚姻件数は63.6万件で、10年間で7.8万件減少しました。また、結婚しても披露宴を実施しなかったり、結婚式や披露宴に費用をかけない傾向を強めています。こうしたことが大きく影響しています。

アニヴェルセルのウェディング店舗は全国に14あります。どれも高級仕様です。例えば、表参道会場はヨーロッパの大聖堂を思わせる独立型チャペルがあります。豊洲会場では大聖堂と3つの邸宅があります。どの施設も豪華です。

アニヴェルセルでの平均組単価は448万円です。全国平均を120万円上回るといいます。地味婚が広がる現在、高級仕様が足かせとなっています。2016年3月期の施行組数は6,410組で、前年から345組減少しています。

ウェディング事業は今後も苦戦が予想されます。テコ入れを行うにしても、市場縮小の流れには勝てないでしょう。成長しているカラオケ事業と複合カフェ事業で穴埋めする形になりそうです。

そうなると、AOKIホールディングスの今後の成長はやはりAOKIを中心としたファッション事業にありそうです。ファッション事業は売上高の過半を占める中核事業です。積極的な改装投資で店舗の魅力を高めることで、さらなる成長を実現する必要があります。必要な投資といえるでしょう。

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