無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』でもこれまで複数回にわたってお伝えしてきた「南シナ海問題」ですが、ここにきて「強者」として知られるフィリピンのドゥテルテ大統領が中国に「敗北宣言」をしました。身勝手な中国の行動を強く非難し、仲裁裁判所に提訴までした国の主がなぜ…? メルマガ著者で、世界情勢に詳しい北野幸伯さん曰く、世界のエリートが「中国を見直した」ことが大きく影響しているようです。
フィリピン・ドゥテルテ大統領、中国に「敗北宣言」
フィリピンの暴れん坊ドゥテルテ大統領が、中国に「敗北宣言」しました。
南シナ海問題、「中国を止められない」ドゥテルテ比大統領
AFP=時事 3/19(日)21:43配信
【AFP=時事】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は19日、中国はあまりに強大であり、フィリピンや中国が領有権を争う南シナ海(South China Sea)のスカボロー礁(Scarborough Shoal)で中国が進めている構造物建設を止めることはできないと述べた。
どうしてこういう発言になったのでしょうか?
2012年から中国が実効支配するスカボロー礁に関しては、西沙諸島(英語名:パラセル諸島、Paracel Islands)の永興(Yongxing)島(英語名:ウッディー島、Woody Island)に中国が設立した三沙(Sansha)市の市長が、環境モニタリング基地を建設すると語ったと伝えられている。
(同上)
三沙市というのは、2012年にできた新しい「市」です。その市長が、「環境モニタリング基地を建設する」と語った。記者会見でこの発言について質問されたドゥテルテさんは、こういいました。
われわれは中国を止めることはできない。
私にどうしろというのか。中国に宣戦布告をしろとでも。それはできない。(中国と交戦すれば)わが国は明日にも全ての軍隊と警察を失い、破壊された国となるだろう。
事実上の「敗北宣言」です。このフィリピン・中国対立の「最重要問題点」は何でしょうか?
仲裁裁判所は昨年7月、「中国の主張は不当。フィリピンの主張は正当」と判決を下した。中国は、この判決を無視して、悪行を続けている。わけがわからない人もいると思いますので、去年何が起こったかを振り返ってみましょう。