日本を代表する大企業でありながら、「新しい」「面白い」を決して忘れないソニー。その精神は創業者のひとりである井深大氏から脈々と受け継がれてきたものです。今回の無料メルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』では、著者で営業実務のコンサルタントを手がける島田基延さんが、カラーテレビ発売時に倒産の危機に陥った同社を、井深氏がいかにして救ったかという驚くべきエピソードを紹介しています。
井深大に学ぶ 1964年倒産の危機
ソニーはアップルの創業者スティーブジョブズにも多大な影響を与えたと言われています。そんなソニーは、どんな危機を乗り越えて今の繁栄を手にしたのでしょう?
実はカラーテレビです。東京オリンピックに合わせて、カラーテレビがガンガン売れていた時に、ソニーは大失敗をし、倒産の危機にあったのです。
1964年10月の東京オリンピックを契機にカラーテレビが爆発的に売れ出したとき、ソニーはまだ対応機種を出せずにいました。他社はすべて「シャドウマスク」という技術方式を採用していましたが、ソニーは独自開発した「クロマトロン」という方式にこだわったからです。
ようやく発売にこぎ着けたのが1965年6月。ところがこのテレビは良品率が悪く、工場原価で50万円もしたので、本来なら約3倍の150万円前後で売らなければペイしないのに、競合する他社製品に合わせて17~18万円で売りました。しかも、さすがに「シャドウマスク」より画像が明るくてきれいだったため、人気も高かった。おかげで赤字ばかりが膨らんでいったわけです。
売れば売るほど赤字になる、…さあ、あなたならどうする? 少し考えて頂きたい。自分が、クロマトロンにこだわっているから発生した問題、しかも、赤字ばかりで上手く行っておりません。シャドウマスクにすれば何の問題もありません。ただ、他社との差別化をどうするか、そこが問題になります。
ソニーは小型化で一世を風靡してきた。今回も小型で対応する? というのも考え方でしょう。いやいや、シャドウマスクにして、リモコンで操作できるテレビを開発したんじゃないか? と、いうのもありだと思います。
まさか…。井深氏が行った「凡人には理解できない経営判断」とは?