無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で住居・マンション事情に詳しい廣田信子さんによると、マンション内の管理組合と自治会などの関係性が上手くいかず諍いに進展する例も少なくなく、最近では「国の通達」を、自分たちの都合の良いように解釈するケースもあるのだとか。廣田さんは自身が実際に受けたという2つの相談を例に上げながら、国の通達の本来の意味を記すとともに「権力闘争」にその通達を利用する人間を批判しています。
国の見解を都合のいいように解釈する怖い話
こんにちは! 廣田信子です。
最近、管理組合と自治会の関係に関して反対の相談を受けました。1つは、コミュニティ条項削除に関係するもので、管理組合がこれまでコミュニティ活動も行ってきたが、国土交通省が、管理組合でコミュニティ活動をやってはいけないと言っているので、自治会を立ち上げるべきと言い出す人がいて困っているというものです。
国土交通省が管理組合でコミュニティ活動をやってはいけないと言っている訳ではないことは、何度も書いていますが、一方で、別に自治会を立ち上げ、コミュニティを担っていこうということは、悪いことではありません。
そのことを言うと、それが、コミュニティ活動とは無縁の人で、何かと問題が多くて、理事会を排除されたから、自分の勢力を別につくろうという魂胆だというのです。それに、国土交通省のコミュニティ条項削除をうまく使っているだけだと…。
えー、マンション内の権力闘争に利用するの~とびっくり!
もう一つは、その逆で、管理組合と自治会と防災会があって、それぞれが独立して活動しているマンションからです。3組織はあまり仲がよくなくて、お金を一番持っているのは管理組合で、自治会や防災会へ助成をしているのに、自治会や防災会が勝手な活動をすると、にがにがしく思っている管理組合の理事が、突然、総務省の見解を持ち出して、総務省は、管理組合を自治会として扱うので、自治会はなくてもいいと言っているよって自治会や防災会は管理組合の下部組織にすると言い出したので、自治会や防災会の反発が大きくて、今、マンションが混乱しているというのです。
※過去記事参照「管理組合は自治会と同じ立場に本当になりたいの?」
総務省の通知は、
管理組合が管理の一環として行うコミュニティ活動が、自治会・町内会等の地縁による団体が行う地域的な共同活動と同様のコミュニティ活動と認められる場合には、各種の連絡・支援を行う際に管理組合を自治会と同様の取扱いを行うこと。
というものです。
すなわち、自治会を必要ないなんて言っているのではなく、自治会があればそれでいいが、自治会がなく、管理組合が自治会的なコミュニティ活動も担っている場合は、行政が自治会等に行う連絡・支援を管理組合に対しても同じように行うように、という趣旨です。
この通知を根拠に、管理組合の傘下に自治会、防災組織を置いて、理事会が主導しようとするって、これも、権力闘争に利用するの~とまた、またびっくり。
こんなふうに、国の見解を都合がいいように利用するってほんとうに何なのかな~~。自分たちのマンションにとって何が大事なのか、その原則を忘れて、権力闘争なんて、本当にかっこ悪いですよ!
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