話がそれましたが、この二人の警官はスシロールを注文すると、一度レストランから出てゆき、そして10分後くらいにまた戻ってきました。外でタバコでも吸っていたのでしょう。そしてレジにやって来ましたが、まだスシロールは出来上がっていません。
警官はお腹が空き過ぎてしまったのか、レジにおいてある飴玉を食べはじめました。そして、爪楊枝でシーハーシーハーをしはじめました。そして、もう一つくらい飴玉を食べたかもしれません。それくらい時間が経ちました。その時です、突然ひっこが「ほにゃー!」と雄叫びを上げました。警官はビックリしてこちらを見ました。さすが、大男も振り返らせるひっこの雄叫びです。そして飴玉を食べていた方の警官は明らかに不快な表情をしていました。もう、お腹がすいていて耐えられないのでしょう。
しかし、スシロールはまだ出てきません。飴玉を食べ終わってからさらに10分以上が経ったと思います。店はガラガラなのに、なぜスシロールを作るのにそんなに時間がかかるのか僕達にも理解できませんでしたが、警官達はそこで待ちぼうけになりました。
もしスシロールを待っている間に外で凶悪犯罪が起きたらどうなることでしょう!その凶悪犯罪者を現行犯逮捕するチャンスを失ってしまう!と思いましたが、きっと飴玉を食べた方の警官はお腹が空きすぎて、容疑者に八つ当たりをしてボコボコにすることでしょう。
そしてさらに数分が経つと、こんどはもう一方の穏やかな顔をした方の警官もキッチンの方をチラチラと見るようになりました。この頃には、飴玉を食べた方(タトゥーをしている方)は明らかにイライラしています。僕とちゃっこは、「NYの警官だから、これ以上またせたら発狂して銃を撃つんじゃないの?」なんて冗談を言っていました。すると、その直後です。飴玉警官が、右手を銃にかけ、銃ホルダーのストッパーを外したのです!と思ったら、またストッパーをかけました。とおもったら、またストッパーを外した!「パチン!パチン!パチン!」ストッパーを外したり戻したりする音がレストラン室内に鳴り響きます。
僕とちゃっこは、「はやくスシロールもってきてー!」と小声で言いました。そしてまもなくして、ウェイトレスが少し小走りでスシロールを持って警官の元までやって来ました。
警官は銃を収めて、やっと落ち着いた様子になりました。もう一方の方も相当お腹を空かせていたようですが、スシロールが来ると機嫌が良くなったのか、ちゃっこに目配せをして店を出ていきました。僕の顔はチラリとも見なかったくせに!飛び蹴りをしてやりたい気分ですが、テーザー銃でバチバチっとやられて僕のお腹の中の「ニュースタイルスシ」が「焼き魚」になってしまうので、やめておくことにしました(笑)。
そんな、NYの夜の、チャイナな日本食レストランでの出来事でした。
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