とんかつラーメン? いだまみ? NYで急増するインチキ和食店の正体

 

とんかつラーメンな店

と、カッコイイことを言ってしまいましたが、「変な日本食」にもアメリカに長年住むと慣れてくるのです。

以前、ポートランドで立ち寄った日本食レストランでラーメンを注文したら「ソイソース?みそ?トンカツ?」とわけの分からない質問をされたことをメルマガにも書きましたが、つい先日ちゃっこと行ったアッパーイーストの日本食レストランにもメニューにも「とんかつラーメン」と書いてありました。名前からするととんかつが乗っているガッツリ系ラーメンかと思われるかもしれませんが、これは「とんこつラーメン」のことです。

「いだまみ」と書いてあったら、それは「えだまめ」のことです。「井田マミって誰やねん!」とか突っ込んではいけません。えだまめであることを理解して、笑顔で「いだまーみ」と注文しましょう。「まーみ」とちょっと伸ばすのがNY風です。

もっとも、昔の僕だったら「とんかつラーメン」なんて書いてある店には入りませんでした。しかしすっかりアメリカに慣れてしまうと、それくらい許しちゃうのです(笑)。

「日本人経営の日本食レストランに行くのはシンドイ、でもちょっとスシロールくらいが食べたい」という思いで、僕達はこの「とんかつラーメン」と書いてある「ジャパニーズ・フュージョン」のレストランに行ったのでした。案の定、メニューを見たらスシの横に「エビチリ」がありました(笑)。でも、それは始めから分かっていたから良いのです。

日本だと「スシロール」はあまりポピュラーではありませんが、アメリカでは色々な「スシロール」があります。一般的にスシロールというと、鉄火巻やかんぴょう巻などのオーソドックスなものではなくて、「レインボーロール」「スパイダーロール」「イチロール」「アメージング!」とか、名前だけでは内容がわからないものもあります。

多くは魚を2~3種類使っていて、デコレーションをコテコテにして、ドレッシングをかけたような「創作スシ」です。それはそれとして、たまに美味しいものにも出会ったことがあります。鮨とは思わずに「スシロール」として楽しめば良いのです。

さてさて、そんなことを思いながら僕達はレストランに入りました。僕達が訪れたそのアッパーイーストの店は、子連れでもOKな雰囲気のカジュアルな感じです。そう、ここも大切です。日本人経営だと敷居が高くなり、子供を連れていきにくくなります。同じ日本人なのに、というかむしろ日本人だけに、子連れがしにくくなってしまうのです。でも、「とんかつラーメン」なんて書いてある店ならば、子供もウェルカム、というか「気にしない」に違いありません。僕達は、快く席に通されました。

席につくと、中国人のウェイトレスが紙おしぼりの封を開いて渡してくれました。そんな丁寧さが「日式」を醸し出しているなと思いつつ、丁寧なのは悪くないと関心しました。そして僕達は「ニュースタイル・スシ!」というものを注文してみました。

日本で「ニュースタイル・すし!」なんて言われたら「はい、そうですか、またこんどにします」となりますが、敢えてそれを頼んでみました。運ばれてきたのは、酢飯をハマチで包んで上にウニを乗せたものや、サーモンと包んでいくらを乗せたものや、マグロで包んでアボカドを乗せたものでした。「そこまでニューでもないやんけ!」と突っ込みたくなりましたが、彼らに突っ込んではいけません。こういうレストランで食す時は、楽しいものが出てきた時にそれを選んだ「自分につっこむ」ことで2倍楽しめるのです(笑)。

そして他にもスシロールがいくつか運ばれて来ました。その中の1つに鉄火巻があったのですが、マグロを巻いている酢飯の層がめちゃくちゃ薄いのです。ごはん2~3粒の厚さでマグロを巻いています。例えてみたら「海苔に酢飯を乗せた」というよりも、「海苔をお釡に突っ込んだら酢飯がくっついてきた」くらいの酢飯の量なのです。斬新です(笑)。

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