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エビで鯛は釣れない。客集めの特典バラマキが無意味な理由

集客の際に「初月無料」や「〇〇をプレゼント」といった特典をつける手法はビジネスの常套手段です。サービスに関心の薄い「見込み客」を獲得するのに有効という意見もありますが、無料メルマガ『ビジネス真実践』の著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんは、「安易に特典で集めるのは、『逃げ』である」とこの手法を批判しています。さらに、特典は使い方を間違えると「顧客の質」を下げてしまうリスクすら伴うとも。一体、なぜなのでしょうか?

特典で客集め??

某企画会社の社長さんのご相談に乗っていたときの話。

「うちのサービスも会員制にしようと思ってまして」

「そうなんですね。事業内容と合いますし、ありですね」

「はい。で、会員を集めるために特典を色々とつけようと思ってるんです」

それはダメです

「?????…何がダメなんですか?」

「まず、会員を集めるという発想。これがダメです。次に特典付けて…という発想。これがダメなんです」

会員制にするのは、問題ありません。会員になっていいただくくことで、お客様と定期的にコミュニケーションは取れますし、適切なタイミングで適切なサービス案内も可能。これの繰り返しで事業は安定します。ですが、「特典で集めるというのがそもそもおかしいことなのです。

特典とは、関係者だけに特別に与えられる待遇や恩典、という意味です。つまり、

会員になってくれたらあげますよ」

「これもあげますから会員になってね」

というのとは本質がズレています。本質からズレる商売やビジネスは上手く行きません。特典につられて会員になったり、サービスを利用するお客様は、お客様には違いないですが、真のお客様ではありません。

「いやいや、それは見込み客だ」といって安易に集客を奨めるコンサルタントも多いでしょうが、ザルで水をすくっているようなものです。

では、特典とはどういう風に付けてお客様に差し上げるのか? というと、何度もリピートくださったり、方々で商品やサービスを紹介くださったりする極めて優良な顧客に差し上げるものです。これが特別な待遇・恩典です。

顧客、会員を集めるためのバラマキ作戦や客寄せパンダ的な手を打って出たところで、体力のある大手などにスグに持っていかれます。

そうはいっても…、と思うかも知れませんが、特典を付けるのであれば、まずは、優良顧客に特典を差し上げることが何より先決です。

新規会員をエビで釣るのではなく、会員になったときにどうなるか? という会員になったあとに起こりうるメリット会員にならかった場合どうなるか? というときのデメリット、この両方を伝えることの方が特典を並べるよるりもよっぽど重要です。

特典は会員になって下さったお礼として差し上げるくらいで丁度良いのです。「集めるために…」という道具ではありません。

なぜこんなことをいうのかというと、実際に特典をいっぱいつけたところで、貰えるものさえ貰えたらそれでいい、という人は多く、また貰えるもんは貰ったら去っていく、という人が大半だからです。それとは逆に「私はそんなものに釣られて顧客になりたくない」という安く見られたくない人も少なからずいるからです。

また、せっかくお金や時間をかけて用意した特典。その特典そのものの価値さえも下げてしまいます。

たとえば、「この○○を挙げるから会員になって」ではなく、「会員になってくれてありがとう、これ、ほんの気持ちですけど…」といって、渡す○○(※○○には特典となる商品やサービスをご自身で当てはめてみてください)。

どちらも同じ値段の○○であっても受け取る側の感じる価値には雲泥の差が生まれます。そういうことです。小手先だけで特典をつけて…というのは結局、ほんとは価値あるモノも無価値なモノとして配るようなものなのです。

簡単に集めたお客様は簡単にいなくなります。一方で、商品やサービスの良さを十分理解した上で顧客になったお客様はそうそう離れません。その上、特典までもらえたりすると、尚更です。

特典でお客様を集めようとするのは、一種の逃げです。自社の自信のあるサービス、商品ともっと向き合いましょう。お客様とも、もっと向き合いましょう。その上で、特典とは関係者に与えられる特別な待遇恩典である、この意味をよくよく考えてみましょう。きっと、サービスに対する取り組み方やマーケティングの取り組みが変わってくるはずです。取り組み方が変われば、顧客の質も変わってくるはずです。

■今日のまとめ

『特典とは特別な待遇、恩典である。』

image by: GoBOb / Shutterstock.com

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【著者】 中久保 浩平 【発行周期】 毎週:火・木午前8:00発行※祝日の場合は翌日

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