人々が金融商品を買う理由は、大きく分けて二つあります。
一つは、その実態が生み出すであろう価値への投資です。企業による設備投資や研究開発投資の結果としての継続的な利益の結果、配当が増えたり、株価が上がったりすることを期待して、長期的な視点で株を購入することを指します。
それに対して、投機は、「他の人たちがこの株の価値をどう評価するか」という他の投資家・投機家の心の動きの変化を捉えて、短期的に利ざやを稼ごうとするものです。「この会社はすごい新製品を発表するらしい」、という噂をベースに株価が徐々に上昇する局面で早めに株(もしくは「株を現在の値段で購入する権利」)を購入し、株価が上がったところで、実際の新製品の発表の前に売り抜けてしまうような行動が、典型的な投機です。
さらに問題を複雑にしているのが、株価の上昇局面では、人間には「まだまだ上がるに違いない」という「欲張り」な心理が働き、逆に株価の下降局面では、「このまま底なしに下がってしまうのかもしれない」というパニック状態に近い心理が働くため、結果として、株価の乱高下を招くのです。
ビットコインは、株と違って、その後ろに企業のような実態もないし、(企業の利益のような)価値も生み出しません。そのため、売買する人たちは、基本的には、規制当局の目を盗んで資産を海外に移動する人たち(マネーロンダリング)と、利ざや稼ぎを狙った投機家たちだけです。
なので、ビットコインの価格が、上のグラフのような乱高下を繰り返すのは当然なのです。
2017年に入ってからの価格の上昇が「まだ上がるかも知れない」と考える、いわゆる「欲の皮の突っ張った人たち」によるバブルであり、バブルが崩壊する前に上手に売り抜けることが出来た人たちだけが儲けることが出来る「限りなくギャンブルに近いマネーゲーム」以外の何者でもないのです。リスクを承知で、ゼロになっても構わないお金で宝くじを買うような気分で遊ぶ分には良いですが、これで生計を立てようとか、将来の蓄えを作ろうとしては絶対にいけません。