米国=コーラに変化。NYでお茶や水を持ち歩く人が急増中のワケ

 

(2)急成長した水筒ブランド

ところで、ペットボトルや水筒などを持参する方々が増えるとどうなるか?

いろいろな現象が起きるが、興味深い一例としては、大ヒット商品が生まれる。

アメリカではこれまで無かったステンレス製の便利でお洒落な水筒が飛ぶように売れて、しかも、その水筒を作ったのが、良い感じの女性社長だったので、注目の女性経営者としても大きな話題になっているのだ。

その製品とは、「スウェル」(S’well)

2011年にサラ・カウスさん(Sarah Kauss)さんが創業した水筒ブランドである。

報道によると、スウェルが登場する前は、保冷・保温に対応したステンレス製でしかも、デザインがお洒落な水筒はアメリカには皆無という状況だった。

保冷・保温が効かないとか、持ち歩きにくいなど何かしら不満の残るものばかりだったそう。

そこで、保冷は24時間続くスタイリッシュなデザインの「スウェル」を自ら立ち上げたのである。

今では、お洒落なセレクトショップ、各種デパート、ラグジュアリー系のスポーツジム、美術館などでも取り扱っている。

一般的なサイズの水筒で35ドルほど。

立ち上げ当初は200超のデザインのスウェルを販売。自己資金3万ドル(約300万円)を投入した。

創業からほどなくして、オプラ・ウィンフリーさんの雑誌「オプラ・マガジン」から問い合わせが入ったことで、さらに色や商品数を追加。利益増となる。

その利益をさらに運営にまわし商品数を増やしていった。

会計事務所のアーネスト&ヤングで会計士として働いた経験を持つ彼女は会計には自信があった。

しかも、ハーバードのMBA取得後はコンサルタント会社や不動産会社で実務経験を培った。

立ち上げ当初は経営が大変な時期もあったが、投資家からの投資依頼を断り自己資金で運営してきたことが逆に自信になったと語っている。

そして、2012年、皆さんもご存知スターバックスで取り扱われるようになった。

最初は、テキサス州のオースティンとジョージア州のアトランタの2都市から始まった。

おそらく、ニューヨークよりもずっと車社会のオースティンやアトランタはもともと車の移動に便利な保冷・保温する水筒のニーズがあったのだろう。

3年後の2015年には、売行きの良さから全米のスターバックス数千もの店舗で取り扱うまでに拡大。

それによって、売上は急増。
2013年は1,000万ドルだったのが2015年には4,700万ドルと370%の大幅増となった。

アメリカン・エクスプレスの選ぶ、「女性が経営する企業で急成長中のアメリカの企業」に選ばれている。

その後、2016年には、大型量販店のターゲット用に10ドルほど安い商品ラインを作るなど拡大。

2016年時点での売上は1,000億ドルにまで達しているとみられている。

また、これらの利益から80万ドルをユニセフに寄付しマダガスカルの水支援などにも尽力している。

こうした功績から、スウェルの創業者社長のサラ・カウスさんは、経済誌フォーブスの「アメリカで一代で財を築いた女性社長」(America’s Most Successful Self-Made Women)のひとりに選ばれている。

(ご参考)
・Why S’well Bottle Founder Sarah Kauss Is One Of America’s Most Successful Self-Made Women

print
いま読まれてます

  • 米国=コーラに変化。NYでお茶や水を持ち歩く人が急増中のワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け