北朝鮮、目覚めのミサイル発射。今こそ日本は「正気の戦略」を

 

制裁と圧力だけで道は開けるのか

しかし、日経は、米国が対話に進むことを「思いとどまらせる」ことを提案する。ということは、安倍政権の「あくまでも日米同盟として強い姿勢を貫いて、経済制裁と軍事圧力の強化で北朝鮮を屈服させるべきだ」という非平和的解決の路線を支持するということだろう。

経済制裁は北の経済的崩壊が目標なのか。軍事圧力は北の軍事的壊滅が目標なのか。どこまで制裁と圧力を増せば相手が屈服してくるのか計測不能で、こちらがまだまだ行けると思っていても向こうは我慢できなくなって暴発する危険を回避することができない。

もちろん、制裁や圧力は戦術として有効な場合もあるけれども、それをやるには必ず落とし所を用意し、そこへ落とし込むための裏パイプも何重にも敷設して、硬軟両様・表裏一体で事を進めるのが外交というものである。

米朝間でさえすでに欧州ルートとニューヨーク国連本部ルートの裏パイプを持って相当に突っ込んだ腹の探り合いをする、したたかな二枚腰三枚腰の外交をしているというのに、日本は一枚腰で犬の遠吠えのようなことをしているだけである。

これでは、いずれ、およそ80年前に独ソ不可侵条約に直面した平沼騏一郎首相が「欧州の天地は複雑怪奇」と言って内閣総辞職したのと同様に、安倍首相が東方の天地は複雑怪奇と言って悶絶することになるのではないか。

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