絶食の効果
長期間のカロリー制限より実用性があるのは、短期間の絶食を取り入れる方法です。12時間以上の絶食でも、動物実験等で寿命を延長させる効果が認められています。絶食もまた、カロリー制限と同じように寿命を伸ばす効果が認められています。
このため、人々を対象とした絶食の研究も行われるようになりました。1日おきの絶食、週1回の絶食、あるいは1ヵ月に数日間の絶食などのような介入プログラムが研究対象となっています。
マウスに対して1カ月に2回、それぞれ4日間の絶食を導入した研究が行われました。絶食したマウスは他のマウスと比べて10%の期間を長生きすることができました。絶食を受けたマウスは長寿となっただけでなく、認知機能も良くなっていました。絶食は脳細胞にも良い効果があったのです。
絶食による臓器再生
マウスたちを解剖してみると絶食を行っていた直後は内臓のサイズが少し小さくなっていました。しかしながら、通常の食事に戻したあとでは、骨髄から幹細胞が血流を通して出てきて内臓に到達し、そこで各臓器の再生が行われるようになっていました。
アメリカの国立エイジング研究所がサポートした研究では、肥満の若い女性に対して絶食介入が行われました。これは1週間のうち、連続した2日間のみ75%ものカロリー制限を行うというものでした。これは5対2ダイエットと呼ばれています。肥満症の人々は体重を減らすことができ、血糖のコントロールが改善し、悪玉コレステロールや血圧を下げることもできました。
もう少し穏やかなダイエット法も考案されています。それは、1ヵ月のうち連続した5日間のみ60%のみのカロリー制限をまず3カ月間行う、というものです。60%のカロリー制限ですから、真の絶食ではありませんので、これは絶食もどきダイエット(fasting-mimicking diet)と呼ばれています。
文献
Wei M, Brandhorst S, Shelehchi M, Mirzaei H, Cheng CW, Budniak J, Groshen S, Mack WJ, Guen E, Di Biase S, Cohen P, Morgan TE, Dorff T, Hong K, Michalsen A, Laviano A, Longo VD. Fasting-mimicking diet and markers/risk factors for aging, diabetes, cancer, and cardiovascular disease. Sci Transl Med. 2017 Feb 15;9(377).
image by: Shutterstock