清潔で美しく健やかな毎日をめざす「花王」が続ける横綱級の努力

 

ヒットの裏に驚きの研究集団~客熱狂の商品を生み出す秘密

今、女性たちの心をわしづかみにしている花王商品がある。最新の柔軟剤「フレアフレグランス」。日経MJの柔軟剤ランキングでも第1位に輝いた。汗や体温に反応し香りが長続きする機能と、5種類の個性的な香りが人気の秘密。「スウィートスパイス」という商品は、スズランやライムにシナモンなどのスパイスをブレンドした大人っぽい香り。「フラワーハーモニー」は、様々なフルーツにシトラスなどで瑞々しさを加えた癒しの香り。

実は花王には、香りにうるさい女性たちを攻略する専門部隊がある。それが花王すみだ事業場にある香料開発研究所。いわば香りを極める集団だ。そこで行なっていたのは、世の中のあらゆる香りを採取する活動。研究員の佐藤麻希子は「北海道にシロツメクサの香りを採りに行ったり、屋久島に森の香りを採りに行ったりしたこともあります」と言う。

花王社内では誰もが知る香り分析のマエストロ、澤村茂。1000種類を越える世界中の香料を組み合わせ、狙った香りをピタリと作り上げてしまう。ところが澤村の研究ノートを見せてもらうと、「野菜のにおい」のように、商品開発とは無関係そうな内容が記されている。その根底にあるのは、商品開発というより、香りそのものへの探究心だ。

「我々の理想は香りで世界の人を幸せにすること。それが我々のです」(澤村)

このように花王には、商品作りとは別に、様々な研究分野を追求する集団がある。

例えば泡を極める集団。泡と向き合って25年、別名・泡博士の坂井隆也が、ある画期的な泡の設計図を見せてくれた。坂井とともにその画期的な泡を開発した主任研究員の西澤がフラインパンに新開発の洗剤を入れ、水を注いでいく。すると泡立った泡が次の瞬間、一瞬で消えていった。西澤は「洗浄にも泡切れにも、両方に効くような基剤を見つけ出すことができ、お客様の暮らしを楽にすることができたと考えています」と言う。

この一瞬で消える泡の発見がとんでもないヒットを生み出した。それが日本中の家庭で愛用されているおなじみの食器洗剤「キュキュット」だ。泡立ちがいいのに泡切れも抜群。驚くほどすすぎが簡単になった。3年前、「キュキュット」は、この新しい泡の改良版を発売、世界的企業P&Gから食器用洗剤シェア首位の座を奪った

「商品を出すだけではなく、商品を支えるしっかりとした技術を、僕らみたいな研究員が何十年もやり続けている。性能の良い製品を作るにはかなり役立っているのではないか、いや、役立ちたいなと思っています」(坂井)

花王は泡や香りなど様々な物の本質を徹底的に研究、その成果を使って、消費者がほしがる商品を作り上げている。これが花王の「本質研究」だ。

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