「お電子マネー」「おビール」は間違い?奥深く難しい敬語の世界

 

ご覧になっていただきました

では、次の文例はどうでしょうか。

ご来場いただいた皆様に展示をご覧になっていただきました。

ご覧になっていただく」は、「見る」の尊敬語「ご覧になる」と謙譲語「いただく」がミックスされた「二重敬語」では? と、思っていたのですが、違いました。

これは「敬語連結」といって、2語以上をそれぞれ敬語にし、接続助詞「て」でつなげたもの。

来場者に「展示を見てもらった」ということを伝えたい場合、「見てもらう」の「見る」の尊敬語「ご覧になる」+接続助詞「て」+「もらう」の謙譲語「いただく」の連結で「ご覧になっていただく」。

その過去形は「ご覧になっていただきました」です。

「ご来場いただいた皆様」の後、「ご覧になっていただきました」と「いただく」が続くので、「ご来場の皆様に」に変更し、

ご来場の皆様に展示をご覧になっていただきました。

とします。

この一文の主語は(例文には書いていませんが)「主催者である私たち」です。

展示を見てもらった「私たち」が立てる相手は、「ご来場の皆様」つまり、お客様。展示を見たのも「ご来場の皆様」。

ここでは、尊敬語でも謙譲語でも立てる対象が「ご来場の皆様」で一致しているため、「ご覧になっていただく」は「二重敬語」ではなく「敬語連結」に当たります。

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仕事上手はメール上手! 「ご返事」「お返事」どちらが正しい?
メールで間違いやすい敬語の使い方は? など、気になるビジネスメールの基本やマナーをご紹介。2005年1月創刊、まぐまぐ大賞「ビジネス・キャリア部門」入賞。「迷わず書けるメール術」など、メール対応関連の著書8冊刊行。まぐまぐ!から有料メールマガジン「仕事のメール心得帖」も配信

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【著者】 神垣あゆみ 【発行周期】 平日日刊

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