信玄から孫正義まで…成功した経営に共通する「孫子の兵法」

 

ソフトバンクの孫子の兵法

ハンバーガーのマクドナルドの創業者のレイ・クロックは事業を行うにあたって重要なこととして三つのことを挙げています。
1.Be daring.(勇気を持って) 
2.Be first.(誰よりも先に)
そして
3.Be different.(人と違ったことをする)

ユニクロの柳井さんは、この言葉に勇気づけられて「ファースト・フーズ」をモデルとして「ファースト・クロージング」を始めたそうです。
会社の名前も「ファーストリテイリング」です。
ちなみに、店名のユニクロは「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」の略です。

企業(事業)の興隆は、普遍である“道”に則り、その時代の“天”が求めるものを勇気をもって、人と違ったことを、誰よりも先に行うことで実現されます。

変化する“天”の命により企業は起こり、“天”の命の移ろいにより企業は廃ります。
現在の経営における“道”とは、人が持つ「欲求」を満たすことを通して企業を存続させることです。

ソフトバンクの孫さんは、孫子の兵法を自分用に付け加え「孫の二乗の兵法」を考案し活動の拠り所にしています。
ソフトバンクの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」です。
ソフトバンクの“道”は何かというと「人々を幸せに」です。
ソフトバンクの“天”は何かというと「情報革命」です。

「孫の二乗の兵法」では理念に続けて、ビジョン、戦略、心構え、戦術と続きます。
「ビジョン」では、“頂”「自ら登る山を決め、山の頂上から見える景色を思い描く」と述べています。

孫さんがITにかかわった当初から、コンピュータICチップの中に広がる広大な美しさに感動して「豆腐屋のように、「1兆(丁)、2兆」と売上を数えるようなビジネスをやる」と明言しています。
低い山から見える景色は、穏やかであっても壮大ではありません。
最初に見ようとする景色によって到達点が定まるようです。

また、“七”「七割以上勝つという見込みを得られるまで詰める」、夢の実現であっても七割以上勝つ見込みがなければチャレンジしません。
と言いながらどんなにリスクがあっても七割以上見込みがあれば、無謀と見なされた「2兆円かけてのボーダーフォンの買収」も決断しています。

戦略では“一”「圧倒的なナンバーワンにこだわる」“攻”「すべての分野において攻撃力を持つ」、ナンバーワンになるために経営者が率先して闘いの第一線に出て行き、激しき攻撃をおこなっています。
一方では“守”「キャッシュフロー、コンプライアンスなど、守りをしっかり固める」としてファイナンス(金融)にも強く無謀ではありません。
現在の孫子(孫正義)は、兵法の基本に基づいて合理的にかつ「兵とは詭道(相手の裏をかくしわざ)なり」を実践しています。

詭道とは、勇気を持って誰よりも先に人と違ったことを行うことです。
それも、目指すのは一番です。

詭道」こそが、あるべき道です。

image by:shutterstock

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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