10月2日には、このようなニュースもありました。2009年、大分県の高校生が部活動中に死亡した事故に伴い、両親が、県に命じられた賠償金など約2,755万円を元顧問らに請求するよう県に求めた訴訟の控訴審判決で、県側の控訴を棄却し、1審の元顧問に賠償金100万円を請求するよう命じた判決を支持したとのことです。2009年当時の報道によると、
顧問は助けるどころか「演技じゃろうが」と言って、生徒の体を前蹴り。生徒は自分で、防具をはぎ取るように外し、壁に頭をぶつけて倒れた。それでも元顧問は馬乗りになり、「これが熱中症の症状じゃないことは、俺は知っている」などと言いながら頬に約十発、平手打ちを加えた。生徒は嘔吐(おうと)して反応しなくなり、その夜に亡くなった。
(東京新聞)
とあります。このような状況でも、刑事事件になっていないのです。
両親は「公務員がその職務を遂行する際に、過失によって他人が損害を受けたときには、国や自治体がその賠償責任を負う」と規定された「国家賠償法の壁」に阻まれ、直接的に顧問の責任を追求できなかったのです。そこで顧問の責任を問うために、裁判を起こし、「県は、県が支払う賠償金の一部を顧問に負担させよ」と求めたのです。
ここまでの暴力行為がなぜ刑事事件として扱われないのか、法律に不備がある、あるいは法の運用に問題があると言えます。教師による体罰や暴力が「教育上必要な指導」、「容認されるべき行為」として扱われ犯罪が黙認されているような状況は、変えなければなりません。本来、成年した分別ある大人が暴力を振るうことのほうが罪は重いのです。公務員だから許されるなどということはあってはならないことです。生徒の範たるべき教師だからこそ、なお一層のこと生徒の範たらねばなりません。
10月、楽しいこともたくさんあることと思いますが、その分、子供たち同士での小さな衝突も起きやすい季節です。結果、いじめ相談も多くなってまいります。
いじめで困っている子供たちをみかけたら、声をかけてあげてください。お子さんが落ち込んでいるとか、朝方までふとんにくるまってネットしているとかそんな兆候が出てくるようでしたら、やや危険領域に入っています。不安に思うことなどありましたら、どうぞ、ご相談ください。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
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