福岡では生徒が逮捕…。暴力教師を守る「国家賠償法」の不可解

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教師に暴行を働いた生徒が逮捕されるというニュースが連日メディアを騒がせています。しかし、教師が生徒を暴行し逮捕されるという事例はほとんど耳にすることがありません。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』ではこの「不可解さ」を批判するとともに法律の不備を指摘しています。

守られすぎている教師

9月29日、教師に暴行を働いた16歳の高校生が逮捕されるというニュースが大きく流れました。

28日午後3時ごろ、福岡県の私立高の男子生徒が、授業中にタブレットで授業に関係ない動画を見ていて教師に注意され、ついにはタブレットを取り上げられたことで事件を起こしました。生徒がタブレットを取り返そうとして、教師の背中をけるなどの暴行を加えたというものですが、この事件が発覚したのは、ネット上の動画がきっかけだったということで反響が大きくなったように感じます。その場にいた生徒が撮影して動画をネットに上げていたのです。ちなみに、その授業は、教師が大声で制したために騒ぎは収まったようです。

続いて3日、同じ福岡県で、中学の男子生徒が教員を殴り、顔面打撲の傷害を負わせ、暴行を受けた教員が生徒を傷害容疑の現行犯で「常人逮捕」したというニュースが飛び込んでまいりました。授業を受けずに外にいた生徒を連れ戻そうとして起きた事件のようです。警察官でない一般人が逮捕することを常人逮捕、あるいは私人逮捕と呼びますが、珍しいケースです。

「暴力に及んだら逮捕される」ということは当然です。不思議なことに生徒が教師を殴って逮捕されたというニュースはよく目にしますが、逆に教師が生徒を殴って逮捕されたというケースはあまり目にしません。日頃、いじめ相談を受けていると、警察は、なぜ生徒には厳しいのに教師には甘いのだろうと感じています。

先日も、服装がだらしないということで、「顧問の先生から殴られた」という相談がありました。この生徒からの相談は、「殴られたのは、自分が悪かったから、しょうがないと思う。でも、転んでボタンがとれてしまって、止められなくなっただけなのに。いつもちゃんとしているのに、理由も聞いてくれないし、試合にも出してくれない」というものでした。

学校という場であろうとなかろうと暴力に及んだら教師であっても逮捕されてしかるべきです。しかしながら、教師による体罰で、懲戒処分を受けたというニュースはありますが、教師が逮捕されたという事案はほとんど聞いたことがありません。

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