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京都の「粋」はナンボ?野暮を承知で聞く花街お座敷遊びのお値段

「一見さんお断り」の京都・花街でのお座敷遊び。野暮なことだとわかっているけれど、果たしてどのくらいのお値段がかかるのか知りたい気持ちも募りますよね。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英学(はなぶさ がく)さんが、実際に花街でお食事をしてきたというお知り合いにこっそり聞いた「リアルな金額」を紹介しています。

お座敷遊びはいくらかかる?

今回は、ベールに包まれた京都の花街のお座敷遊びのお値段についてです。本来このようなことをつまびらかにすることは野暮なことではあります。しかし、京都に興味がある人なら気になることだと思います。今回はあくまでも1つの目安として一例をご紹介しています。

京都五花街

京都には現在5つの花街(かがい)があります。祇園甲部祇園東宮川町先斗町上七軒の五花街です。祇園甲部、祇園東、宮川町は八坂神社の門前に栄えたお茶屋さんですので、八坂神社の西門前から伸びる祇園商店街(四条通り)の南北に位置しています。

先斗町のお茶屋さんは鴨川と木屋町通りの間にある情緒漂う細い通りにあり、北は三条通り、南は四条通りまでの辺りが中心となっています。ですのでこの4カ所の花街は四条大橋を中心にそれほど離れていません。

一つだけ街の中心から離れて位置するのが上七軒です。上七軒は北野天満宮の門前に栄えたお茶屋さんで、室町時代に北野天満宮を再建する時に残った資材を使って7軒の茶店を建てたことに由来しています。五花街の中では一番歴史が古いのがこの上七軒です。

しかし、このような花街のお座敷で食事をするためにはどうしたらいいのでしょう? 基本的には「一見さんお断り」でとても敷居が高い場所です。長年常連さんとしてお茶屋さんに通い詰めた人に何度か連れて行ってもらい紹介してもらう以外ありません(最近では高級なホテルや旅館など宿泊先が紹介してくれるケースもあるそうですが)。

お座敷に上がれたとしてもどのぐらいお金がかかるかも分かりません。舞妓さん、芸妓さんは京都の象徴とも呼ぶべき存在です。お手頃価格であるはずはありません。お座敷遊びの値段は一体いくらぐらいなのでしょう?

先日実際に宮川町のお茶屋さんで食事をして来た知り合いが詳しく教えてくれました。ベールに包まれたものをつまびらかにしてしまうのはいかがなものかと思いながらも罪深きことでもないので一例としてお伝えします。あくまでもこれが決まっている値段だということではありません。場所や料理などによっても大きく違いますので一つの目安としてイメージして頂ければと思います。

お茶屋さんのお座敷

お座敷には通常舞妓さん芸妓さん地方(じかた)さんの3名がつきます。地方さんというのは三味線などを引いたり音楽を担当する方です。お座敷では近くの料理屋さんから仕出しの料理が運ばれてきます。お座敷では舞妓さんと芸妓さんによる舞が披露され、「金比羅ふねふね」などのお座敷遊びなどが行われます。
請求されるのは大きく分けると3つです。舞妓さん芸妓さん地方さんのお花代食事代宴会花となります。

お勘定

お花代というのはお座敷に来て宴席を歌や踊りで花を添えてくれた3名に対して支払う代金です。お座敷やお客さんと女将さんとの信頼関係や時間などにもよるのだと思いますが大体1人3万から4万ぐらいだそうです。そうすると間をとって1人3万5,000円だとすると3人のお花代は合計で10万5,000円です。

飲食代は京懐石料理とお酒代です。人数にもよるでしょう。1人で行く場合だと安く見積もっても5、6万ぐらいでしょうか。料理は税抜き1人あたり3万から4万円で、1人あたり5000円程の席料が含まれます。これに飲み物代が追加されます。店によって違うようですが、宴席と二次会は別で請求されたりもするので長居するとそれだけ多い請求されることもあるのでしょう。

最後にご祝儀といわれるもので、舞を披露する時などに支払うものです。1人1万5,000円前後なので3人で4万5,000円です。

といった感じでしょうか。これでもかなりギリギリで安く上がるケースでしょう。1人で行ってこのぐらいです。

値段はあってないようなもの

ただあらかじめ決まっている値段は何一つないということです。お花代だって二次会で別の場所に一緒に行く場合はまた別料金です。

時間は大体6時ぐらいから12時くらいまでの間の5時間前後でしょうか。一流の芸、一流の髪飾りや帯や着物など身につけているもの全て高価なものに彩られた洗練の極みを堪能する時間です。一流の料理人が用意した京懐石を食べた後は舞妓さんや芸妓さん達による艶やかな舞と恒例のお座敷遊びで一層場が盛り上がります。

お座敷遊びに定価はありません。聞くのも野暮です。だから誰も聞かないし、答えられない。今回も敢えてそれを承知であくまでも一例として大体の目安をお示ししたまでです。

花街によって、お茶屋さんによって、客によって、紹介者によって値段は違うし、定価はありません。基本的に一見さんお断りで、濃い人脈に紹介されればお得になるようです。人によって値段が変わるということです。これが花街の流儀です。

ちなみに「ご飯食べ花」というのもあります。これは「ごはんたべ」に行くときのお花代です。お座敷ではなく、夕方舞妓さんや芸妓さんと待ち合わせをしてレストランとかでご飯食べて、バーとかに飲みに行くケースです。この時は拘束時間が長くなるので、1人だいたい4~5万円が相場のようです。飲む時にバーに来てもらうだけの場合は「普通花」と言って1人2~3万円だそうです。

長年お茶屋さんに通い続けて、女将さんとの信頼関係が出来てからでないとこのようなことは出来ないでしょう。全てが信頼関係の上で成り立っている花街の流儀はなかなか奥が深いものがあります。

かつて花街についてご紹介したメルマガの記事です。

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いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Sergii Rudiuk / Shutterstock.com

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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