安保法案成立後、最悪のシナリオは「米国が北朝鮮に先制攻撃」

 

北朝鮮の李スヨン外相が2014年8月にミャンマーで会談した岸田外相に「我々のミサイルは日本を対象にしたものではない」と言明したが、労働党機関紙・労働新聞は2013年3月18日付に日本を米国の追随勢力と位置付け仮に第二次朝鮮戦争が勃発すれば「日本も攻撃の対象になる」との個人の署名入り記事を掲載していた。それでも日本への攻撃には「米国が戦争を引き起こした場合」とか「自衛隊が戦争に介入すれば」との前提条件が付いていた。

仮に米朝や南北間戦争が勃発すれば、日本が巻き込まれ火の粉をかぶるのは目に見えている。日米安保条約の中(第6条)に日本の安全と、極東における国際平和と安全を維持するため米軍が日本の施設と区域を使用することが許されているからだ。

米朝が戦えば、朝鮮半島で火が噴けば、自動的に在日米軍は参戦する。沖縄から米海兵隊が朝鮮半島に上陸し、横須賀から米空母が出動し、そして三沢など在日米軍基地から戦闘爆撃機が発進されることになる。日米安保条約が適応され、日本は米軍の補給基地、兵站基地、あるいは後方基地になる。日本から武器弾薬、燃料など軍需救援物資が運ばれる。

仮に戦闘に直接加わらない後方支援であったとしても、北朝鮮は「準軍事行動」とみなす。その時は日本を対象にしてなかったミサイルの脅威にさらされることになるだろう。湾岸戦争の際、米軍に協力したことでイラクからミサイルを撃ち込まれたサウジアラビアの二の舞になるのは確実だ。このことについては韓国に亡命し、2010年に死去した黄ジャンヨプ元労働党書記も生前「朝鮮人民軍は戦争が起きれば、日本などに駐屯している米軍の基地を攻撃し、これらを無力化してこそ戦争に勝てると考えている」と証言していたことからも明白だ。

肝心の米朝交戦だが、北朝鮮が世界最強の米国先に手を出すことは常識では考えられない。犬の喧嘩に例えれば、スピッツがドーベルマンに喧嘩を仕掛けるようなものだ。北朝鮮がいかに米国を言葉で威嚇したとしてもそれは弱者の虚勢にしか聞こえない。しかし、その逆はあり得る。米国による北朝鮮への先制攻撃だ。

ブッシュ政権下でのアミテージ報告には「(北朝鮮が核とミサイル開発を放棄しなければ)最悪の場合は、核やミサイル基地に対する空爆も考慮する」と書かれてあった。また、オバマ政権下でも2012年4月17日、米太平洋軍のロックリア司令官(当時)が「北朝鮮が3度目の核実験を試みた場合、基地に対して局地攻撃を加える可能性もある」ことを明らかにしていた。

韓国国防部は野党から要求されている米韓連合軍作成の「作戦計画5015」の公開を渋っているが、実は、この計画の中にも北朝鮮の挑発を感知した場合北朝鮮の核やミサイルを除去するための先制攻撃の内容が含まれている。現実に、朝鮮半島有事は北朝鮮による先制攻撃ではなく、米国による先制攻撃によって引き起こされる可能性が大だ。

米国、あるいは日本が北朝鮮のミサイルを迎撃、あるいはミサイル基地を叩いた場合、どうなるか?

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