台湾の「民泊」が中国人を相手に大失敗、高まる日本人への期待

 

一方、台湾は日本と逆で、民泊過剰に陥っています。そもそも台湾人は商売が好きです。誰もが社長になりたがるのが台湾人です。そんな台湾人にとって、民泊の経営は気軽に手を出せる商売として魅力的に映ったのではないでしょうか。

しかし、同じ民泊でも、中国人観光客を相手にしたものと、日本を含むその他の外国人を相手にしたものとでは明暗がくっきりと別れました。

中国人観光客は、政治的要素によってすぐに変更があります。蔡英文が総統になってからは、中国政府による台湾観光を規制したために、中国人観光客が激減しました。

いくら中国人が「爆買」するほど金払いがよくても、マナーや態度が悪い上に政府の風向きによって需要が増減するような観光客が相手では、まともな商売はできません。おかげで、現在の台湾では、中国人を相手に商売していた民泊は、閑古鳥が鳴いています。

民泊のホストたちは、その原因は蔡英文総統にあるとして、政府を相手に抗議し、賠償金を要求しています。この問題をめぐっては、台湾の世論は二分しています。

民泊業者だけではありません。中国人観光客をあてにしていた免税店、ホテル、観光バス会社なども、口を揃えて商売がうまくいかないのは蔡英文が「92共識」を認めないからだと、台湾政府のせいにしています。

ちなみに「92共識」とは、1992年に中国政府と国民党時代の中華民国政府が「一つの中国」を互いに認めたとされる合意です。

しかし、仮に蔡英文が「92共識」を認めたとしても、中国人観光客が安定供給されるとの保障はありません。中国政府の一存で観光客はどうにでもされてしまうからです。

本当に中国とつきあうのは難しいのです。それはTHAAD配備で中国からいろいろな嫌がらせを受けている韓国をみれば、一目瞭然でしょう。

ただ、少なくとも日台間における民泊のマッチングにはそれほど問題はないように思えます。なぜなら、日台における衛生観念や道徳観、マナーなど、公共心には共通するものが多くあるからです。台湾人は、日本統治時代に日本人から道徳心や公共心を学んでいるからです。

なによりも民泊は安く泊まれるので、利用しない手はありません。民泊は民宿と違って、ホストとの直接的な関わりはありませんが、希望すればホストとの会話も楽しめるでしょう。ホテルとはちょっと違った台湾旅行を味わうためにも、民泊という選択肢、一度は試してみる価値はあるでしょう。

image by: asiastock / Shutterstock.com

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