ミスタードーナツが「ミスドゴハン」で業績回復という目的を達成するために鍵になるものとは?
さて、低迷する業績の回復を図るためには、「ミスドゴハン」の投入はセオリー通りの戦略といえますが、成功するかどうかは未知数といえるでしょう。
特に飲食関連のビジネスは市場規模も大きく、常に激しい競争が繰り広げられています。
これまで需要のなかったマーケットで需要を創造するのではなく、すでに他の店舗で食事をしている顧客をライバル企業から奪い去る「ゼロサムゲーム」に勝利する必要があるのです。
このような激戦区でミスタードーナツが思惑通りに飲食関連の需要を取り込むためにはライバル企業が提供する商品に対して圧倒的なアドバンテージがなければいけません。
そして、そのアドバンテージを価格に求めるか、品質に求めるかで、戦う相手や戦場が変わってきます。
安さで勝負するならコンビニやマクドナルドが強力なライバルとなるでしょう。
たとえば、セブンイレブンはパン1個とコーヒーがセットになって200円という「朝セブン」キャンペーンを不定期で開催していますし、マクドナルドはマフィンとドリンクのセットを200円で販売しています。
もし、ミスタードーナツがこれらのライバルから価格を武器に顧客を奪おうと思うなら200円以下のセットメニューが必須といえるでしょう。
また、パスタやピザでいえば、業績堅調で外食チェーンの勝ち組と称されるサイゼリヤが強力なライバルになってきます。
サイゼリヤでは、パスタにサラダとスープが付いてわずか500円のランチセットメニューがありますし、単品ではペペロンチーノが299円と驚くような安さで提供されています。
つまり、ミスタードーナツが価格でサイゼリヤから顧客を奪うのなら、それ以下の安さを実現しなければならないのです。
一方、品質を武器にライバル企業から顧客を奪おうと考えるなら、どのライバル企業よりも「価格の割には美味しい」というコストパフォーマンスを高めていく必要があるでしょう。
これまでのミスタードーナツの戦略との親和性を考えれば、価格で勝負するよりは、料理のクオリティで勝負する差別化戦略の方が勝算は高くなると考えられます。
実際にミスタードーナツは2014年からおよそ70店舗で九州を中心にパスタレストランを展開するピエトロの監修でパスタを提供していましたが、その販売結果が好調だったことより10月には正式に提携を結んで全国規模での展開を目指していくと発表しています。
今後はピエトロと組んで、クオリティの高いパスタをメニューに投入することが見込まれます。
当然のことですが、ミスタードーナツが飲食関連のメニューで成功を収めるためには、「ミスドゴハン」に常に磨きをかけて、お腹が空いたときに「そうだ!ミスドに行こう!」と、何度も顧客に思わせることができるかどうかが鍵を握ることになるでしょう。
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