後で困るのはあなた。年金を未納ではなく免除にした方が良い理由

 

では事例。

1.昭和40年3月20日生まれの女性(今は52歳)

あの人は今年いくつ?生年月日から瞬時に年齢を判断する方法
年金加入月数の数え方の一例(参考記事)

ア.20歳になる昭和60年3月から昭和62年3月までの25ヶ月は昼間学生。ここは国民年金には任意加入だったが、加入しなかったからカラ期間になる。

イ.昭和62(1987)年4月から平成18(2006)年6月までの231ヶ月は国家公務員共済組合。

ウ.平成18年7月から平成21年3月までの33ヶ月は国民年金保険料4分の1免除。平成21年3月までは基礎年金に税金が3分の1投入されていますが、ここは老齢基礎年金の6分の5に反映する(何でこの数字になるかは後で説明します)。

エ.平成21年4月から平成23年6月までの27ヶ月は厚生年金。

オ.平成23年7月から平成27年6月までの48ヶ月はまた国民年金保険料4分の1免除
平成21年4月以降は基礎年金に税金が2分の1投入されていますが、4分の1免除の場合は老齢基礎年金の8分の7に反映

カ.平成27年7月から平成30年6月までの36ヶ月は4分の3免除。ここは老齢基礎年金の8分の5に反映

キ.平成30年7月から60歳到達月の前月までの平成37(2025)年2月までの80ヶ月は半額免除とする。この半額免除は老齢基礎年金の8分の6に反映する。

さて、65歳からの老齢基礎年金はいくらになるのか?

老齢基礎年金の3分の1とか2分の1が税金使われてるのに、なんで8分の5とか6分の5とかそういう数値になるのか。まず、期間をまとめる。ア.の25ヶ月はカラ期間(年金額に反映しない)。イ.の231ヶ月は国民年金保険料納付済期間。ウ.の33ヶ月は4分の1免除期間。ここはなぜ6分の5になるのか。

まず、6個のブロックで考える。税金が3分の1投入されてるから、6個のブロックの内3分の1である2個は税金。残り4個のブロックが本人が保険料支払うわけですが、これを4分の1免除するわけだから3個のブロックしか納めない。つまり、6個のブロックの内税金2個と本人が3個埋めたから6分の5に反映する。

エ.は27ヶ月の国民年金保険料納付済期間。オ.の48ヶ月はまた4分の1免除ではありますが、平成21年4月からは税金が2分の1まで引き上がりました。なぜ老齢基礎年金の8分の7に反映するのか?

まず、8個のブロックで考える。この内2分の1が税金だから8個のブロックの内4個が税金となる。残り4個のブロックは本人が保険料支払うわけですが、4分の1免除しました。つまり、本人は4個のブロックを納める内3個のブロックを納めるわけです。よって、税金が4個で本人が3個納めるから8個のブロックの内7個が埋まる。だから老齢基礎年金の8分の7に反映

カ.の36ヶ月は国民年金保険料4分の3免除。老齢基礎年金の8分の5に反映するわけですが、さっきの考え方を用いるとまず8個のブロックで考える。この8個のブロックのうち、2分の1である4個が税金だから残り4個のブロックを本人が払うわけですがそのうち4分の3を免除するわけです。だから、税金は4個のブロックと本人は1個のブロックを納めて5個のブロックとなり老齢基礎年金の8分の5に反映となる。

キ.の80ヶ月は国民年金保険料半額免除ですが、なぜ老齢基礎年金の8分の6に反映するのか? はい、8個のブロックで考えます。このうち2分の1である4個のブロックは税金。残り4個のブロックは本人が払いますが、半額免除だと2個のブロックだけ支払う事になりますよね。よって、税金4個と本人が2個支払うから老齢基礎年金の8分の6(→4分の3)に反映する。

これで老齢基礎年金額を計算してみましょう。

  • 老齢基礎年金額→779,300円÷480ヶ月×(イ.の231ヶ月+ウ.の33ヶ月÷6×5+エ.の27ヶ月+オ.の48ヶ月÷8×7+カ.の36ヶ月÷8×5+キ.の80ヶ月÷8分の6)=779,300円÷480ヶ月×(イ.231ヶ月+ウ.27.5ヶ月+エ.27ヶ月+オ.42ヶ月+カ.22.5ヶ月+キ.60ヶ月)=779,300円÷480ヶ月×410ヶ月=665,652円となる。

厚生年金期間の老齢厚生年金額は今回は省いています。

※追記

免除期間は過去10年以内であれば、免除された保険料を納める事(追納老齢基礎年金額を増やす事が出来る

なお、今日は部分免除でしたけど、例えば国民年金保険料16,490円の4分の1免除になって、残りの保険料12,370円を国民年金保険料の時効である2年1ヶ月以内に支払わないのであれば単なる未納期間となり、免除期間とはならない。だから未納にしちゃったら直近10年以内の追納の適用は不可

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

print
いま読まれてます

  • 後で困るのはあなた。年金を未納ではなく免除にした方が良い理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け