(3)どうやってやるか
ローレンさんが大学に入った2002年の頃は、今と違ってインターンは3~4年生から開始するのが一般的だった。
ローレンさんも他の学生同様に大学生活を楽しんでいた。
勉強の合間はお友達と食事や買い物。パーティーにスポーツ観戦など忙しい日々を送っていた。
そんなある日、ローレンさんのお母さんから電話があったのだ。
「インターンを探しなさい」
ローレンさんはびっくりした。
大学に入ったばかりだし、インターンシップの他にやりたいことはいっぱいある。それに、インターンを始めるには早すぎる、そう思っていたから。
「お母さん、インターンにはまだ早すぎるわ。まだ1年生なのよ」
そう答えると、お母さんは、
「何を言ってるの。みんな1年生からインターンしてるわよ。朝のテレビ番組でやってたんだから」
テレビ番組のニュースに影響を受ける母親。よくある話だ、そうローレンさんは思った。
特にインターンを探しはじめることもなかった。
そんな娘の行動パターンは母親ならある程度わかっていたのだろう。それから電話する度に娘にインターンを始めるように勧め続けた。
何度目かの電話の後、ローレンさんはようやく重い腰を上げて探すことにした。
まずは大学のキャリアセンターだ。
キャリアセンターでインターンをしたいことを伝える。
「将来の夢のお仕事は何ですか?」
キャリアアドバイザーの人に聞かれた。
ローレンさんの将来の夢のお仕事は、US Weekly Magazineという、一般大衆誌で働くこと。
ハリウッド俳優などセレブのゴシップネタなどを多く扱う雑誌だが、そこで働きたかった。
そう告げると、出版社やPR会社でのインターンが適しているとアドバイスされる。
しかし、とっても残念なことに、出版社やPR会社のインターンは大学4年生になってからしか申し込めないと告げられる。
「1年生のあなたは申請資格がありません。4年生になってからまた来てください」
申請すらできない、という回答だった。
せっかくやる気を出したのに拒否されたことに非常にがっかりしたローレンさんは、自宅に戻ってからグーグルで検索をした。
「PR Internship」
パブリック・リレイションシップのインターンを検索したのだ。
大手広告代理店がトップに表示された。公式サイトに、インターンのことは一切何も書かれていなかった。
つまり、募集していないということだ。
そんなことはかまわずとにかく問い合わせてみた。しかも、電話でだ。
大学から教えられるのは、
「会社に絶対に電話してはいけません。ルールですから」
ルール破りと自称するローレンさん。大学からの忠告を気にせずに問い合わせ番号に電話した。
インターンシップを取りまとめる担当者に繋いでもらい、インターンを希望することを伝えたのだった。
「まずは履歴書を送ってください」
担当者はそう言った。
大学1年生の彼女は当然、履歴書は準備していない。
しかも、履歴書に書く職歴は地元のファーストフード店でのアルバイトなど2件ほどしかなかった。
職歴も何もないけど、相手が望む履歴書をとにかく早く送ろう。
電話をかけたその日の夜、ローレンさんは予定が詰まっていて忙しかった。
「みんなもそうだと思うけど、いつも忙しかった。その日の夜もいつも通り、忙しかった。でも、とにかく時間を作って履歴書を作成して送ったのよ」
そう、電話したその日の夜に履歴書を送ったのだった。
すると、翌日、昨日話した担当者から電話がかかってきた。
「ローレン、私は感動したわ」
一体、何に感動したのか?
職歴はほとんど無い。
これといって素晴らしい実績を持っているわけでもない、ごくごく普通の大学1年生だ。
なのになぜこの人は私の履歴書で感動したのだろうか?
「この広告代理店で10年もインターンシップ生のとりまとめをやってるけど、こんなに早く履歴書を送ってきた人は初めてよ!たいがい最初の会話からフォローアップまで4~8週間かかるのが普通なの」
驚いたローレンさんは、このことがきっかけで、面接を受けることができ、念願かなってその広告代理店でインターンをすることになった。
大学からは、4年生にならないと申請すらできないと言われたPRのお仕事だ。
この経験を受けてローレンさんは、
「誰かがダメだと言ってもあなたはできると言いなさい。そして、どうやったらできるのか考えるのよ」
とアドバイスする。
ローレンさんは大学生時代に15件ものインターンを経験しており、その中でも、彼女のもっとも印象に残っているインターンの話をしているのだが、そこに至るまでに奇跡的なことが連発しているので、次週はその話をお届けしよう。(つづく)
image by: Twitter-Lauren Berger(@InternQueen)