仮想通貨で独立する国家があってもいい。中島聡が提唱する仮想国家論

 

この問題を解決するには、仮想通貨の原点に戻り、まずは独自の経済圏を作ることから始め、日本円の強さが日本経済の強さを反映するように、仮想通貨の価格が仮想通貨独自の経済圏の強さで決まるように持って行く必要があると思うのです。

しかし、そこで問題となるのが税金です。せっかく仮想通貨の経済圏を作っても、仮想通貨による収入に対して、(収入を得た人の国籍にしたがって)円なりドルなりの税金がかかるのであれば、仮想通貨経済圏の健全な成長はあり得ないと思うのです。

そこで思いついたのが、仮想通貨を基軸とした仮想国家を作ってしまい、その国に属する人は、仮想通貨で受け取った賃金は仮想通貨で支払う(多分、トランザクションフィーという形で)という形で独自の仮想経済圏を作ってしまえば良いのではないか、とう発想です。

しかし、単に仮想国家を作ったところで、その国のパスポートを他の国に認めてもらうことは、ほぼ不可能です。そこで、もっと現実的な方法としては、エストニアのような既存の枠組みに囚われない発想の指導者がいる国をベースに、そこで仮想通貨経済圏を作ってしまうのは、悪くないと思います。

現在、日本の富裕層の一部は、税金逃れのためにシンガポールに国籍を移していますが、それと同じようなことが、もっと大きな規模で、仮想通貨経済圏を持つ国に向かって起きても全く不思議ではないと思うのです。

image by: shutterstock

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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