羽生善治永世七冠と井山裕太囲碁七冠、「平成の天才」の共通点

 

井山裕太(囲碁七冠)

子供の頃はしょっちゅう負けては涙を流していましたから、負ける辛さは本当によく分かっています。ただ、師匠から「負けて涙を流しているだけでは何万回打っても強くなれない」と、なぜ負けたのかを反省することの大切さを諭されました。

プロになってからは、正直言って自分がどこまでやれるかという不安が結構ありましたし、最初に張栩さんに名人戦で挑戦して負けた時というのは、この人に勝つのは本当に大変だろうなとも痛感しました。それぐらい大きな差を感じて、ショックを受けたんです。

でも、それをこれからの自分に生かせばいいと気持ちを切り替えてまた対局に臨み続けたんです。タイトル戦ではもちろん負けもたくさん経験していますし、その度に辛い思いもしますけど、すぐ次の対局が来ますので、塞いでいる暇もないというのも正直なところです。

とにかくタイトル戦という最高の舞台で、最高の相手と濃密な時間を過ごすことが一番勉強になるわけですから、せっかくそういう機会を得たからには最大限に生かさなければなりません。

自分の場合は囲碁をずっと好きでやってきたわけですが、そういう気持ちを表現する意味でも、目の前の一手、一局に集中することはもちろん大切にしてきました。

対局中だけでなく、普段どれだけ囲碁のことを考えしっかり向き合っているかその積み重ねが凄く大事だと思います。いい時は誰でも頑張れると思うんですけど、大変な時でも変わらずにそういう姿勢を持続するということは大事だと思いますね。そういう意味では、どの世界でもそこで長く活躍されている方というのは凄く尊敬します。

自分はタイトルを取り始めてまだ数年ですし、とにかく棋士として完成しているとは全然思いません。まだまだ弱いと思います。ですからそういう尊敬すべき方々を目指して、とにかくやれるところまでやってみたいという気持ちがいまは非常に強いですね。

image by: 首相官邸

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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