「終身国家主席」を目指す習近平は、国際金融資本に潰されるのか

 

国際金融資本は、なにを目指す???

いったい国際金融資本というのは何を目指しているのでしょうか? 「国際金融資本の代表的人物」といえば、故デビッド・ロックフェラーさんでしょう。彼は、回顧録でこう語ったといいます。

なかには、わたしたちがアメリカの国益に反する秘密結社に属していると信じる者さえいる。そういう手合いの説明によると、一族とわたしは“国際主義者”であり、世界中の仲間たちとともに、より統合的でグローバルな政治経済構造を、言うなれば、ひとつの世界を構築しようとたくらんでいるという。もし、それが罪であるならば、わたしは有罪であり、それを誇りに思う。
(『ロックフェラー回顧録 下』)

国際金融資本家は、「ひとつの世界をつくりたい。なぜ?

私が理解しているのは、「金儲けがしやすくなるから」です。ビジネスしている人は、わかるでしょう? 国によって法律が違う、ルールが違うとか、本当に面倒くさい。「全世界が共通のルールで、国境がなくなればどれだけいいことか…」と。

しかしそれをやると日本に貧しい国から人が殺到する。日本人労働者の賃金は今の半分の水準に下がり、日本人の失業者は激増することでしょう。国際金融資本は、「国境のない世界」を目指しますが、一般人には「国境の守りも必要なのです。

トランプに救われた習近平

さて、ソロスは2015年~16年、中国を見捨てていました。ところが、また状況が変わります。そう、トランプさんがアメリカ大統領選で勝利した。国際金融資本は、ブッシュ(子)とかトランプのような「民族主義者」が大嫌いなのです。ソロスはブッシュ(子)を嫌っていましたが、トランプも超嫌っています

一方、習近平は2017年、「私は自由貿易絶対支持だ!」「核兵器のない世界を目指したい!」「パリ協定絶対支持!」などと、「国際金融資本に喜ばれる言葉」を並べて許された。「トランプが大統領になったので許された」と言えるでしょう。そして2017年中国経済は安定を取り戻しました。

そうそう、「国際金融資本」には、中国を潰す力があるのでしょうか? 私は、「ある」と考えます。2015年16年の異常な景気悪化が、そのことを示している。

習近平が、憲法をかえ、「終身国家主席」への道を歩きはじめます。これは、常識的に考えれば、国際金融資本に嫌われる言動。しかし、まだ表立った反応は出てきていません。

もっといいのは、欧米政府と国際金融資本が一体化して中国に対処すること。しかし、現実はどうでしょうか? トランプは、「私は習近平が大好きだ!」と公言している。欧州諸国は、中国と良好な関係を保っている(ほとんどの国が、アメリカの制止を無視してAIIBに入った)。国際金融資本の一部は、「トランプ憎し」で中国を許した。

とはいえ、これらはすべて、国家主席「1期5年」「2期まで」という憲法を「改める!」と宣言する前の話。今後どう変わるか、注意していましょう。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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