「終身国家主席」を目指す習近平は、国際金融資本に潰されるのか

 

ソロスは一度中国を見捨てた

しかし、そんなソロス、実は1度中国を見捨てたことがあります。いつ??? 2015~2016年にかけてです。何が起こったのでしょうか? 2015年3月に「AIIB事件」が起こった。中国が、「自分の国際金融機関」を作ったのです。このことは、一部の国際金融資本から、「中国は俺たちの支配する世界をぶち壊すつもりだ!」と認識されました。なぜ? 今の世界秩序は、国際金融資本が作ったものです。思い出してください。ソロスは06年に言いました。

経済的繁栄を持続させ確保すべく国際的システムにおいて安定と現状維持を志向しつつある中国。

「国際的システム」について、「安定」と「現状維持」につとめることが、ソロスたちにとって大事なのですね。中国は、12年前そうだった。ところが、「AIIB」をつくることで、中国は「現状を壊し」、状況を「不安定」にしたのです。

問題はこの後です。国際金融資本は中国を見放しこの国の経済は2015~2016年ひどい状況になりました。公式発表では、2015年6.9%、2016年6.7%成長となっています。しかしこの年の貿易統計を見ると、悲惨さがはっきりわかる。

2015年、

  • 貿易総額:前年比-8%
  • 輸出:-2.8%
  • 輸入:-14.1%

これで、GDPは6.9%成長とかありえないですね。高橋洋一先生は、「GDPはマイナス3%ぐらいだろう」とおっしゃていました。

ちなみに2016年は、

  • 貿易総額:前年比-6.8%
  • 輸出:-7.8%
  • 輸入:-5.5%

ちなみに「国際金融資本が見捨てたから中国経済が悪くなった」というのは、私の推測で、証拠はありません。しかし、「国際金融資本が2015年に中国と見捨てた証拠」はあります。夕刊フジ2015年11月25日付。

かつては高い成長率を背景に、欧米の金融機関や投資家が積極的な投資を行っていた中国だが、経済の失速もあって、いまやマネーは逆流している。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、米シティグループが、広東省の地方銀行、広発銀行の株式20%の売却に向けて協議していると報じた。シティは2006年に企業連合に加わり広発銀行を買収、当時の取得額は約6億2,000万ドル(約760億円)だったが、シティが目指す売却額は明らかになっていない。

シティが中国地銀の株を売却するそうです。シティだけではありません。

米経済メディアのブルームバーグによると、ドイツ銀行も北京にある商業銀行、華夏銀行の持ち分35億ドル(約4,300億円)を売却する可能性を示唆しており、欧米の主要金融機関で、中国の大手銀行に大きな持ち分を持つのは、交通銀行に出資する英HSBCホールディングスだけになる。
(同上)

ドイツ銀行も売却するそうです。

シティやバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス・グループなどが2012年の初め以降、中国の銀行株を少なくとも140億ドル(約1兆7,000億円)相当を売却したという。投資先としての中国の落日ぶりを象徴するのが、ブラジル、ロシア、インドを含む4カ国に投資する「BRICs(ブリックス)ファンド」をゴールドマンが閉鎖したことだ。

ゴールドマンはBRICsの「名付け親」として新興国投資ブームを作ったが、中国が人民元を突如切り下げた時期にあたる8月12、13日の会合で閉鎖を決め、10月に別の新興国向けファンドと統合した。「予見できる将来に資産の急増が見込めない」と閉鎖理由を説明している。
(同上)

ゴールドマンは、「ブリックスファンドを閉鎖した。このように、商売に直結するために、「マクロ経済動向」をどこよりも真剣に研究している国際金融資本は、はっきりと中国を見捨てていたのです。そして、2016年1月、これまで「親中」だったソロスから、衝撃発言が飛び出します。

ソロス氏:中国のハードランディングは不可避、株投資は時期尚早(2)

Bloomberg 1月22日(金)9時54分配信

(ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏は21日、中国経済がハードランディングに直面しており、こうした状況は世界的なデフレ圧力の一因になるだろうと述べた。同氏はまた、中国情勢を考慮して、自分は米株の下落を見込んだ取引をしていると説明した。ソロス氏はスイス・ダボスでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ハードランディングは事実上不可避だ」と指摘。「私は予想しているのではなく、実際に目にしている」と語った。

親中ソロスも、2016年1月には、中国を見捨てたのですね。しかし…。

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