交渉の常套手段「興味のないふり」は、本当に有効なのか

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交渉を有利に進めたいとき、足元を見られないために「興味がないふりをする」をするというテクニックは一般的によく使われます。しかし、無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者で現役弁護士の谷原先生は、「やみくもにこの手法を使うのは危険」と断言。その理由について、交渉のプロの目線で記しています。

興味がないふりは有効か?

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

交渉において、誰もが使う基本テクニックに興味がないふりをする」というものがあります。

たとえば、仕事の打診を受けた時「ぜひ私にやらせてください、お願いします」と前のめりになるのではなく、いわばポーカーフェイスであまり関心を示していないようにふるまうようなケース。また、「今、結構忙しいんですよね」といった、後ろ向きの言葉を、あえて挟む場合もあります。こういったテクニックを交渉で使っている人は、多いと思います。

交渉において、自分のニーズをすべて明らかにしないのは、基本中の基本。たとえば「今、仕事がなく、どんな条件でも受注したい」といったニーズを相手が知っていれば、交渉は圧倒的に不利になります。要するに、足元を見られてしまうからです。「いくらでもいいのでやります」という場合、しばしば値段はぎりぎりまで下げられます。

また、今後も、どんな仕事でも受けそうであれば、安い仕事を振り続ける、ということも考えられます。ですから、強い興味があってもあまり表情を変えず淡々と交渉するようになってきます。

孫子の兵法にも、「兵は詭道(きどう)なり」という言葉があります。

能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれをみだし、卑にしてこれを驕らせ、佚(いつ)にしてこれを労し、親(しん)にしてこれを離す。其の無備を攻め、其の不意に出ず。

能力があっても、能力がないように見せかけ、必要であっても不要であるように見せ…、というように、自分の状態と反対のように相手に思わせる、という方法です。

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