しかしこのテクニックは、本当に万能なのでしょうか。この「興味がないふり」は、テクニックとは言っても、しょせんは駆け引きにすぎません。交渉でこういった駆け引きに集中し過ぎると、相手をだますことが目的化してしまうところがあります。
興味がないふりをすることで、どのくらい良い条件を出すことに役立ったかは、最後まで分からないことが多いでしょう。そして、本人はうまくやっていると思っていても、逆にその振る舞いがマイナスになっていることに気づかないこともあります。
発注者の立場に立つと、オファーに前のめりに乗ってくる人と、若干ネガティブな反応をした人、どちらに好意をもつでしょうか。これは明白でしょう。相手に対して良い印象を与えることができれば、今後、もっと条件の良い仕事が継続的に入ってくるかもしれませんし、単価の大きい大きなプロジェクトがあるとき、メンバーとして加えられるかもしれません。
興味のないそぶりをしたことにより、今後、限られた仕事を、限られた量お願いするだけの存在となることもあります。興味がないふりは、「創造的な仕事」とは相いれないところがあるのです。
もちろん、興味のないふりは、しばしば交渉で有効に機能します。しかし、戦略を持たず、やみくもにそのような態度を取ることにより、潜在的な利益を取り逃すことがあるということだけは、知っておくべきだと思います。
今回は、ここまでです。
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