前代未聞「森友文書改ざん」問題、新聞各紙がどう報じたか徹底比較

 

尊大な麻生財務相

【毎日】は1面トップに2面・3面と4面5面のそれぞれ見開きの特集記事、5面にはさらに社説、9面には「削除された主要部分」、11面「論点」は識者の見方、30面と31面にも関連記事。見出しから。

1面

  • 森友14文書改ざん
  • 財務省報告
  • 答弁と整合性図る
  • 麻生氏「佐川に責任」
  • 麻生氏の辞任否定
  • 首相「国民に深くおわび」

2面・3面

  • にじむ官の配慮 揺らぐ安倍政治
  • 盟友麻生氏切れず
  • 「昭恵氏の発言」削る
  • 官邸に振り回され

4面

  • 「最強官庁」信頼壊滅
  • 省内動揺 増税に暗雲

5面

  • 野党「昭恵氏喚問を」
  • 首相関与 厳しく追及
  • 立法府欺く前代未聞の罪(社説)

30面

  • 「国民共有」認識欠く
  • 官僚の意識に落胆 識者
  • 刑事責任 慎重に判断 検察

31面

  • 麻生氏 頭下げぬ謝罪
  • 改ざん調査「捜査終了後」
  • 常に浮かぶ昭恵氏の影
  • 「うそつくな」「国民なめるな」官邸前で怒りの声

uttiiの眼

《毎日》も《朝日》と同様、「安倍昭恵氏の関与麻生氏の進退を次なる段階のテーマに据えようとしている。ただ、2面・3面の特集記事では、取り上げ方に独特なものを見せていて興味深い。

「昭恵氏」について書かれていたのは貸付契約締結前の経過表の中だった。そこには、籠池氏が昭恵氏を伴って近畿財務局との打ち合わせに国有地を訪れたことや、昭恵氏が学園を訪問したことを伝えるインターネットニュースの内容まで紹介され、「安倍首相夫人が学園の教育方針に感涙した」ことなど、「こうした経緯は本来であれば、貸付契約に直接関係ない記述」。そうした内容がわざわざ書き込まれていたことになる。そして、問題発覚後の財務省の姿勢と矛盾する内容の1つとして削除されたということになるわけだ。

これはなかなか鋭い分析であって、要は、特例的な扱いをするに当たって財務官僚は言い訳をする必要があり、この案件が「特別扱い」である理由を、経過表の中に書き込んでおいた。ところが国会で問題となり、開示させられたら大変なことになるとして、公文書であるにもかかわらず、改ざんして「証拠隠滅」を図ったということだろう。もちろん、これはまだ「忖度」レベルの話であり、政治家の直接的関与がなかった場合のことだが。

「麻生大臣の進退」の方は、秋の総裁選への影響に照準されている。麻生氏を切ればパワーバランスが崩れて総裁選の行方が不透明になるし、麻生氏を守ろうとすれば野党の追及は止むことがない。「いずれの選択も首相にとってはいばらの道だ」と。

麻生氏についてはもう1点。社会面での取り上げ方は、尊大で傲慢、しかし責任は回避する政治家、麻生太郎氏に対する容赦ない批判的なトーンで満たされている。大見出しには「麻生氏 頭下げぬ謝罪」とあり、記事中には「…書面に目を落としながら謝罪はしたものの、頭を下げることはなかった」とする。興味深いのは、麻生氏が手にしていた資料。冒頭のコメントもそこに書いてあったようで、《毎日》は「用意された書面には、言い間違えのないよう「捜査(そうさ)」「調査(ちょうさ)」と読み仮名が記されていた」(実際はルビ)。そしてさらに、「取材中ほとんど表情を変えなかった麻生氏だが、「(1社で)5問も6問も質問しないでくれえねかな」といら立ちを滲ませ、記者の質問を遮る場面も。わずか15分で打ち切った」と憎々しげに書いている。

麻生氏の「誤読」の歴史を知るものにとって、「捜査」と「調査」にルビと聞いて失笑するしかないが、実は会見中、「調査」と言うべきところを何度も「捜査」と言い間違っていた。官僚も大変だ。

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