2つ目は、外交方針です。現在の安倍政権の外交ですが、アメリカとの関係で言えば、オバマ政権との蜜月を演じた一方で、トランプ登場という政変にも実務的に対応し、一方でTPP11を進めながらトランプとの緊密な関係は維持するという、一種の均衡戦略を取っています。韓国との関係も同様で、日本の保守世論の支持を引っ張りながらも一度は日韓合意を実現し、現在も文政権との対話姿勢を続けています。
これに対して、トランプ政権との関係が卑屈だとか、韓国には甘いという批判は簡単かもしれません。ならば、政権批判勢力が政権当事者になった時には、日米も日韓も「ちゃぶ台返し」をするのでしょうか? その場合は、「アンチ・トランプ+アンチ・文在寅」というのは右派的ポピュリズムからでも、左派的ポピュリズムからでも「やれて」しまうのかもしれませんが、右からやっても、左からやっても、外交孤立になる危険があります。
いやいや、日中と日欧を重視して安倍外交を転換するんだというのであれば、それならそうと堂々と主張すべきでしょう。とにかく、外交がここまでクリティカルな局面で政権を倒そうとする、にも関わらず外交方針の代案はないというのは余りにも無責任です。勿論、成り行きでこうなっているのは分からないではないのですが、ジャーナリズムなどにはもう少し見識を求めるというのは無理なのでしょうか?
3つ目はアベノミクスです。金融緩和政策を批判して「出口へ」という主張がありますが、かといって世界中がいい加減な財政をやっている中で日本が引き締めをやれば、円高になります。そのメリットを国民に還元しつつデメリットを抑えるためには具体策が必要ですが、その提案はありません。また「第3の矢」の遅れは大問題ですが、安倍政権以上に踏み込んだ構造改革をやるのか、やらないのかという姿勢をそれぞれの反対派は明確にすべきと思います。
4つ目はエネルギー政策です。政局が流動化すると、必ずエネルギー政策で集票しようという動きが出てきます。ですが、仮に原発再稼働をこれ以上抑えるのであれば、少なくともEV(電気自動車)普及や排出ガス削減は諦めなくてはなりません。どんな主張も自由ですが、そのように深刻なトレードオフがあることを隠して民意を弄ぶようでは、政権交替に成功しても、やがて行き詰まるでしょう。
今のままでは、野党にも、そして自民党内の非主流派にしても、政局にするだけの決意も、能力も、政策も「見えない」としか言いようがありません。とにかく「森友問題」という流れと空気に乗るだけで、「その後」を考えないというのは政治家もメディアも無責任ではないかと思うのです。
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