安倍政権が吹っ飛んだ後、ニッポンが行き詰まる4つの危機的問題

 

1つ目は、左へ行くか右へ行くかという方向性の問題です。安倍政権から見て、「森友問題で攻勢を強めている」野党は「怖い」かもしれませんが、中身はバラバラです。例えば、立憲民主党は左で、維新は右です。とにかく立場が違います。民進に至っては、過去の債権と債務を抱えた個人商店ばかりで立ち位置がどこなのかも分かりません。そうした野党が一丸になって安倍政権を攻め立てているわけですが、仮に政権崩壊に追い込んだとして、野党には政権を組織するだけの議席はありません

ですから、「民意」というのは当面は「自民党における政権交代」という落とし所に行くしかないことになります。では、一体その後の政権を組織するにあたって「政策論としての民意どこ?にあるとして政府を再建するのでしょうか?

安倍政権が右に寄り過ぎている、それこそ「教育勅語を信奉している森友学園とお友達だった」ということが批判されて、反対に少し左寄りの真ん中に寄った政権ができるのであれば、まだ分かりやすいと思います。ですが、現在の「森友問題」はそんな単純なものではなくなりました。その結果として、今回の「反権力ムーブメントが左からなのか右からなのか全く不明確という状態に陥っているのです。

このままでは、右寄りの政権ができた場合に、真ん中から左の票を意識して無駄なバラマキに走ったり、左寄りの政権の場合は右の批判を恐れて、例えば野田政権の尖閣国有化のような唐突で無謀な政策を取るなど、基盤の弱さゆえの逆さの悪手」を取る危険があると思います。自民党の中で別の首班が立つ場合も同じです。現在の政局が正にそうで、野党も、自民党内も政局にするのならもっと真剣に政策を整理して示すべきです。

韓国の朴槿恵政権打倒運動はひどいものでしたが、良くも悪くもという受け皿は明確でした。ですが、現在の日本の政局は「右へ行くのか、左へ行くのか」すら不明確で、これでは政権選択の議論にはなりません

ドサクサに紛れて、自民党は憲法改正案について「安倍私案より少し右」の案を出してきましたが、これがいい例で、「右派の安倍政権を叩けば、全体は左へ行く」と考えているのなら、野党もメディアも甘いと言わざるを得ません。

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