アメリカと中国の「ビッグディール」
少し、歴史を振り返ってみましょう。
1949年、中華人民共和国成立。この国は、共産党の一党独裁国家。それで、アメリカと中国の仲は悪かった。しかし、1970年代になると、大きく関係が変わります。
アメリカと中国は、「共通の敵」ソ連に勝つため、和解することにしました。1972年にニクソンが中国を訪問した後、米中関係は劇的に改善されました。以後46年間、紆余曲折ありながらも、両国関係は、基本的に良好なのです。
さて、ニクソンは訪中時、何を中国にオファーしたのでしょうか?
「台湾5原則」といいます。
内容は、
- 中華人民共和国を唯一正当の政府として認め台湾の地位は未定であることは今後表明しない
- 台湾独立を支持しない
- 日本が台湾へ進出することがないようにする
- 台湾問題を平和的に解決して台湾の大陸への武力奪還を支持しない
- 中華人民共和国との関係正常化を求める
要するに、「アメリカは、台湾を捨て、中国をとります!」と宣言した。
この米中和解を推進したのが、キッシンジャー大統領補佐官(後の国務長官)でした。
そのキッシンジャーさん、90歳をはるかに超えた今も現役。なんとトランプの「最高顧問」的立場にある。
だから、今回の話も、「キッシンジャーが考えたのかな」と思えます。
ちなみにキッシンジャーさんは、ニクソン訪中に先立つ、1971年7月 、北京を「極秘訪中」しています。
今回、ポンぺオさんが、「極秘訪朝」していますが、こんなところも、「キッシンジャーぽい」ですね。
ビッグディールの中身は?
これは、もちろんわかりません。しかし、予想してみましょう。金正恩が望んでいるのは「体制保証」です。自分自身で自分の「体制保証」するために、核兵器開発に励んできた。しかし、彼は「非核化」に同意している。ウソかもしれませんが。
トランプが望んでいるのは、北朝鮮の「非核化」です。そうなると、取引は、「非核化して体制保証」「体制保証して非核化」となるでしょう。
しかし、アメリカは、03年核開発を停止したカダフィのリビアを2011年に攻撃。カダフィは惨殺されています。それで、金正恩は、容易にアメリカを信じることができないでしょう。
一方、アメリカも、「ずっと北朝鮮には騙されてきた」という思いが強い。
では、どうするか?
ここで登場するのが、中国です。
キッシンジャーは、アメリカ一番の「親中派」。中国が、米朝が約束を履行することを「保証」します。
(「体制を保証する国」、数が多ければ多いほど、いいでしょう。日本、ロシアに加え、国連もくわわればベストですね)
これは、中国にどういうメリットをもたらすのでしょうか? 「緩衝国家」北朝鮮がサバイバルすることは、中国の利益なのです。
そんな感じで、「ビッグディール」の中身を想像してみましょう。
- 韓国と北朝鮮は「終戦宣言」し「平和条約」締結
- 北朝鮮は「非核化」に同意
- アメリカは、北朝鮮の「体制を保証する」と宣言
- アメリカと北朝鮮は「平和条約」を締結
- 中国は、アメリカと北朝鮮の約束が履行されることを「保証」する
- 朝鮮半島で戦争状態が終結し、非核化がなったことで、在韓米軍駐留の意味がなくなったと見なし米軍は、朝鮮半島から撤退?
↑これは、「米中による共同世界統治体制」(G2)を目指すキッシンジャーがいかにもやりそうなことです。
ここまで、あくまで想像です。
ちなみにCNNは4月18日、「習近平がピョンヤンを訪問する」と報じています。
米中韓北が、「ビッグディール」にむけて、活発に動いています。