いろいろな「子どもの領分」
1.集中
「子どもの領分」としてまず挙げられるのが、「子どもが集中している時間」です。熱心にミニカーを並べる、お人形さんのお世話をする、本を読む、などは「いかにも集中しています」と分かりやすいケースですよね。その他にも、親戚から送られてきたお下がりの服を片っ端から試着する、ひたすらビニールひもを裂く、などの一見不思議な場面も、子どもにとっては全く同じ“集中している時間”です。
そこで起きていることは、大きく分けて2つ。ひとつは、見ての通り「集中力が養われている」。そしてもうひとつが「自分の中から湧き上がる興味・関心・好奇心を堪能している」です。
「好奇心を堪能」と言っても分かりにくいので、別の説明をします。次の2つの属性を対比して捉えてみてください。
片方が、
- 何をするにも、親の期待を先に考えてしまう小学生
- 何にも興味が持てない高校生
- 就職活動を始めたものの、自分のやりたいことが分からない大学生
- 仕事のやりがい・モチベーションまで会社から与えてもらわないと働く意欲が持てない新入社員
などの属性。
もう片方が、その対極にある
- 自分の中から興味・関心・好奇心が湧き上がって、いろいろなことに意欲を持ち、実践・行動して満足感・充実感を感じられる人間
との属性。
子どもが集中する時間=領分を邪魔しないことは、後者の属性を育むことにつながると私は考えているのです(もっと正確に言えば、人間は誰でも後者の属性を持って生まれていると私は信じています。しかし、親がその芽を潰し続ける接し方をしてしまった時に前者の属性が生み出されてしまうのだと思っています)。
この第一の「子どもの領分=子どもが集中している時間」において、親ができることは、とってもシンプル。
「そっと見守る」
声をかけず、ジャマせず、参加しようとしない。欲を言えば、可能な範囲で夕食やお風呂の時間も融通を利かせてあげられれば、子どもにとっては充分な“支え”となるはずです。