2.子ども同士
「子どもの領分」として次に挙げられるのが、「子ども同士で過ごす時間」です。
見ていても分かりやすいですが、他の子とのやり取りを通じて、コミュニケーションの練習や、人それぞれに異なる価値観があることの発見が行われています。
同年代の仲良しのお友だちとは、本音をぶつけ合ったり、ケンカと仲直りを繰り返したりしながら、自分や相手の言葉・態度がどのように伝わるかを体験しています。また、自分と年齢や性格などが異なる子との係わり合いからは、本当に多くの点について、好き/嫌い・できる/できないなど、ひとりひとりに“違い”があること(加えて「みんな違っていて、いい」も)を発見しているのだと思います。
子どもがそんな“領分”にいる時の親の心得は、
「コミュニケーションを助けない」
です。「助ける」と言えば聞こえは良いですが、「わが子はお友だちと一緒にちゃんと遊べる」という“親の満足感・安心感”のために、子どもが自分で言うべき言葉を親が代わりに言ってしまう、という事態(=親の自己満足のために子どもが犠牲にされる)になりやすいので、注意が必要です。
どうしても助けが必要と判断した場合も、初めに少し見本を見せる程度に留めるべきでしょう(何度も言われなくても子どもは理解します。すぐに行動に移せないのはその見本を消化・吸収する時間が必要だからです)。
また、子ども同士の間では、ケンカもひとつのコミュニケーションの形です。子ども同士が子どもの領分でケンカをしている時は、仲裁も必要ありません。
泣いたり泣かせたり、不満が残ったり、後味の悪い思いをしたり、みな貴重な経験です。何年か後に「相手の気持ちになって考える」というスキルが身に付いた時、これらの経験は大きな大きな“思いやり”の力となって開花するのです(ただし、相手方の親に「仲裁が必要ない」と理解してもらうことができるかどうかは別問題です…そっちの方が大変そうですが…苦笑)。