金正恩の憂鬱。トランプの逆鱗に触れた「北朝鮮外交」の行く末

 

トランプの脅しがきいた

北はこれまで、うまく世界を欺いてきました。94年、「核開発をやめる!」と宣言した。2005年、「核兵器をすべて放棄する!」と宣言した。そして、経済援助を受けながら、核兵器の数をちゃっかり増やしつづけてきた。

しかし、こういうウソがうまくいったのは、「アメリカ側の事情も大きかった。90年代、北にはまだ核兵器がなかった。2000年代、ブッシュ政権は、アフガン、イラク戦争で忙しかった。09年にはじまったオバマ政権は、まず「100年に1度の大不況克服」で忙しかった。その後は、シリア問題、ウクライナーロシア問題、IS問題などで忙しかった。

トランプの時代になって、北の異常なペースの核実験、ミサイル実験で、ようやくアメリカは、真剣に北と向き合うようになった。そして、安倍さんやボルトンさんのアドバイスで、トランプは、「クリントンやブッシュのようにだまされないぞ!」と固く決意しているようです。

金は今回の一件で、「トランプに脅しは通用しない」ことを思い知ったでしょう。彼はどうするのでしょうか? とても難しい局面です。

何度も書いていますが、世界にとって一番いいのは、「核兵器放棄」「体制保証」、その後に制裁解除」です。しかしトランプはこれまで、「TPP離脱」「パリ協定離脱」「イラン核合意離脱」などで、合意を遠慮なく破ってきました。トランプにいわせると、「オバマがやったこと」ということなのでしょうが。そういうことであれば、トランプが北とディールすれば、金、トランプ時代は生きるかもしれない。

しかし、「次のアメリカ大統領は変心するのではないか?」という恐怖もある。

「トランプは、俺をだますのではないか?」
「次の大統領は、俺を殺すのではないか?」

こういう疑念は、決して消えることはないでしょう。もちろん、アメリカはアメリカで、「北はまた俺たちをだますのではないか?」と疑っているわけですが…。

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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