あと……、やはり3.11 のときの恐怖を久々に思い出した方も多かったのではないでしょうか? 3月11日金曜日の午後2時46分。東北地方太平洋沖地震が起きた時、私はJR水戸駅のホームにいました。
東北地方の震源地近くに比べれば揺れは大きくなかったかもしれません。ましてや津波に襲われた地域の方たちの恐怖に比べてれば大したことじゃないかもしれない。
でも、震度7弱を記録した水戸駅は、一瞬にして機能不全とパニックに陥り私は生まれて初めて、死ぬかも、とうろたえました。
幾度となく阪神・淡路大震災の映像を見て、地震の怖さが分かっていたつもりでしたが、土煙が上がり、目の前の建物が大きく横に揺れ動き、線路に振り落とされそうになり……、改めて自然の猛威を思い知りました。
「地震は長くても1分」と当時聞いていたのに、揺れはだんだんと強くなり地面に手を付き、震えで身動きの取れない私に「こっちに来ないと危ない!」と年配の男性が声をかけてくださり、肩を抱えられながら階段の脇まで移動。
携帯はつながらない、何が起きてるのかわからない。「駅の外に避難してください!」と駅員さんの大きな声と、悲鳴だけが響き、落ちてきた看板にぶつかりうずくまる女性もいて。「仙台で震度7だ!」と誰かが大声を上げ、再び悲鳴があちこちから上がり……。
情報のないこと。一人きりであること。それがいかに人を恐怖に落し入れるかを身をもって経験しました。
今回の地震では、駅でスマホの充電器が早急に準備され、「家族の安否が確認でき安心した」と語る人たちがたくさんいたと聞きます。情報の洪水が日常化している中での自然の猛威。
明日は我が身です。どうかみなさんも防災グッズを再点検し、もし、被災したときには「声を出して」「声をかけて」ください。
声を出す。簡単なことです。見知らぬ人に声をかけるのは勇気がいるかもしれません。でも、声を出せば、そこでつながりが生まれることだってあるはずです。
少なくとも私は、あのとき声をかけてくださった方たちのおかげで、孤立せずなんとか東京まで戻ってくることが出来ました。(メルマガ記事より一部抜粋)
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※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年6月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年6月20日号)より一部抜粋