日本語を話せない外国人は、仕事につきにくくなる
以前にも書きました。私が使っている洗車場で働いているのは、ほとんどタジキスタン人です。あるタジキスタン人が私にいいました。
「他人の車を一日何十台洗っても、全然金はたまらない。俺の麻薬売ってる友達たちは、皆リッチに暮らしているのに。友達は、いつも『一緒にやろう! リッチに暮らそう!』と誘う。俺は、麻薬の密売は、アラーの意志に反していると思うからやらなかったが、誘惑に負けそうになることがあるんだ…」
ちなみに、ロシアで流通している麻薬は、アフガンから入り、中央アジアの人たちが売っているそうです。
こういうことは、日本でもありえます。普通の人は、法律を守りたいし、犯罪もしたくありません。しかし、いくら働いても、食べることしかできない水準がつづくと、「違法でも儲かる」方に流れやすくなる。
「日本人と外国人の賃金水準を同じにする」とどうなるでしょうか? 「厳格に実行されたら」と仮定して考えます。
まず第一に、日本語を話せない外国人は、仕事につきにくくなるでしょう。つまり、「日本語をペラペラ話す」というだけで、日本人が有利になります。第二に、日本語をペラペラ話す外国人の給料は上がるでしょう。そのことは、彼らがシャドウサイドに流れるのを防ぎます。第三に、日本が極端な格差社会になるのを防ぎます。
モスクワの状況を見てみましょう。朝起きて家を出る。道路の清掃をしているのは、皆中央アジアの人達です。スーパーに入ると、従業員の多くは、中央アジアの人達です(ロシア人も、たまにいる)。建設現場で働いているのは、ほとんどが中央アジアの人達です。タクシーの運転手をしているのは、ほとんどが中央アジアかコーカサスの人たちです(ロシア人もたまにいる)。
モスクワは、ロシア人と3K外国人労働者、移民でくっきりと人生の明暗が分かれてしまいました。そして、ロシア人は、「移民が多すぎる。イスラム教徒だらけだ!」と憤り、3K外国人労働者は、差別を感じるのと長時間低賃金労働に怒りを感じています。
私は、日本人ということで、中央アジアやコーカサスの人たちとも気楽に話すことができます。打ち解けてくると、彼らが口にするのは、ロシアやロシア人に対する静かな怒り、憎しみです。ロシア人はロシア人で、「なら、来るな! 俺はおまえたちを呼んでない!」と憤っている。
ちなみほとんどのロシア人も中央アジア人も、話してみると善良な人達です。間違った政策が、善良な人達同士を対立させているのです。